ピュア宗様(笑)

「まーさむね」

「あぁ」

「まさむねー」

「…おい」

「まさm「だからさっきからなんだって言ってんだろうがぁあ!!!」


オレは読んでいた本を勢いよく閉じ、振り返ってオレの名前を呼んでいた元親を睨んだ。

…今のは読んでいたと呼んでいたを掛けたわけではない。

……いやいやいやそーじゃなくて!!


「Hey、元親!!さっきからなんなんだ!!よく飽きずに人の名前呼べるな!!」

「ん?オレは政宗の名前ならいくらでも呼べるぞ?」

「オレが聞いてんのはそうじゃなくて、さっきからなんなんだって聞いてんだ!!yousee!?」


なかなか噛み合おうとしない会話を合わせるように、オレは元親を指差し叫んでいた。


「だってよ、せっかく久々に逢えたのに、政宗本ばっか読んでんだもん。つまんねぇ」

「ぐっ…!」


反論できない。

久しぶりに四国から元親が来ていたのに相手にしなかったのはオレだ。

でも…でも!!


「ぁんたがオレの着流しの中に手ぇ突っ込まなければ、オレだって少しはまともな対応すんだよ!!!」


いつの間にかオレの後ろに回り込んでいた元親はオレを羽交い締めにし、さりげなくオレの着流しのなかに手を入れる。

元親の手を振りほどこうともがいたが、体格差があるせいかびくともしない。


「こんの…!!放せっ!!バカ親!!!」

「んなっ…!!ひでぇな!!バカ親はねぇだろ!!つかそんなに嫌がることかぁ?」

「嫌に決まってんだろ…!!」

「…そんな怒んなくてもいいだろ…ったく…床の中じゃあお前から、触ってくれってオネダリするのによ…」


耳元に息を吹き掛け、囁くように言った元親の声にゾクリと鳥肌が立つ。

それと同時に真っ赤に染まるオレの顔。


「なっ…なっ…!!」


恥ずかしすぎてまともにしゃべれないオレに、さらに追い討ちを掛けるように元親が囁いた。


「んな顔真っ赤にしちまってかぁわいいなぁ…。期待したか?まあでも…






続きはまた今晩、な…?」






熱を含んだその声に、さらに顔だけでなく全身が赤く染まるのを感じた。

元親が触れた部分から熱を帯びていく。


「おっ、おまっ…!!」

「んじゃ、それまでにその本読み終わっとけよ?次またお預け喰らったら無理矢理でも押し倒してやらぁ」


唇に触れるだけのkissを落とし、背を向け歩き出した元親は一度だけこちらを振り向き、いたずらっぽく口角を上げた。

その笑みに目を奪われ、元親が部屋を去った後もしばらく放心したままだった。



「…だから…その顔に弱いんだって…オレはっ!!」



意識を取り戻したオレはまだ熱を残す顔を気にしながら、読書を再開する。




密かに、夜になるのを楽しみにしながら…





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一方その頃の元親は、話の一部始終を聞いていた小十郎に、半殺しにされていたのであった。


Fin.







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