君のことなら何でも知ってる
※性行為有り注意
私を見て貰おうと思う。
意地でも、無理矢理にでも、愛情がなくとも、
皮肉にも、恨まれようともだ。
いや…そんなもの今更だ。犯罪といえる誘拐をしておいて、恨まれないはずがない。俺はもう、彼女ももう、人並みの喜びを味わうことなど不可能にすぎん。私がお前さんを愛してやると言っているのに。何を迷う必要があるというのか…。
私は部屋に入り、絶対に誰も足を踏み入れることのない要塞に鍵をかけた。念のためだ。…念のためってなんだ。誰も来やしないのを私が一番良く知っているだろう。どうした。何を恐れている。私はやっと、手に入れたのだ。彼女を。十和子を。
この手に。
「……お前さんは良く笑う子だったな…」
ゆっくりと、一歩一歩踏みしめて、彼女のいる檻の前で立ち止まる。十和子はずっとこのままだ。あのままだ。殴られて、突っ伏して、そのままだ。まだ泣いているのか…それともそろそろ幻覚でも見始めているだろうか。
関係ない。もう関係ない。檻の鍵をもう一度開け、躊躇なく十和子のもとへ寄り、その細くなった体を押し倒した。地に背中をつけた時、痛そうに眉を寄せた。
私は構わず十和子の服を割いた。痛々しい、布の破れる音が耳をいっぱいにした。
その時やっと、十和子が私を見る。
「や……やだっ…やだ!!」
「………」
「止めて!!おねが…止めて!!止めてぇぇ!!」
ばたばたと身じろいで逃げようとするが、所詮男女の差。十和子の両手を頭の上で押さえつけて胸部に手を伸ばす。大きくもなく小さくもない綺麗な胸を、壊れモノでも触るかのように優しく撫でた。十和子の身体は反応し、胸の中心も立ち上がり主張している。
それなのに、嫌だ嫌だと顔を振って逃げようとする。更には、止めて下さいお願いしますとまで懇願してきた。そこまで嫌がられると、止めたくなくなる。そうやって泣きじゃくる顔も可愛いものだな、と。ふと思った。
「素直にならないと辛いのはお前さんだぞ」
「嫌、嫌、嫌……!かずきかずきかずきっ!助けてっ……」
「また、あの男か」
そんなに頭から離れないのなら、忘れさせてやる。もう快感なんぞくれてやるものか。痛みで現実を感じるといい!
「!ああぁぁぁあ゛っ!!」
「っ…」
「嫌!!痛いっ、抜いて!!ああ゛ぁあ!!」
濡れてもいないそこに自身を挿入し、力任せに腰を振る。蜜部が少し滑っている。血が出たのだろう。血液特有の鉄の匂いが鼻を掠めた。
それでもなお打ち付けているうちに、十和子のそこからは血とは違うべたつきを感じた。…愛液が、流れ始めている。
「あっ、あ…ん、……」
「十和子……っ」
「あぁ…あんっ、あ、あ」
喘ぎ始めた十和子に気を良くした私は、激しく動かしていた腰を止め、十和子の感じる部分を探すためゆっくりと律動した。
「あ、んぁっ!ああぁっ!!」
「ここか…」
「あ、だめっ…あんっ、あ、は、あぁぁあっ、あぁっ」
見つけた前立腺を撫でるように擦れば、十和子は可愛く鳴く。中が震えて、絶頂が近いように感じた。
そろそろかと身を乗り出して深く奥まで繋がると、十和子は私の首に手を回した。
「十和子……」
愛してると、言おうとした矢先。
「っは…かず、き!」
「!!!?」
「気持ちいっ…かずきぃ…あぁぁっ」
やっと、手に入ったと思ったのに。最後の最後でまた!またか!またなのか!!!
「っ……くそ…」
「あぁぁっ、ぁああぁあぁッ!!!」
悲しいかな、十和子は果てた。私の背中に爪を立てて、奴の幻覚を抱きしめて。
「かずきっ…今日は、ちゅーしてくれないの?」
うるさい。黙っていろ。
十和子の中から自身をひきぬいて、檻から出て行こうとする私を、奴の名前で引き止める。
私の知らない十和子。初めて見せた欲情の中で溺れる十和子。奴は決まって最後、キスをするらしい。奴の変わりなんかごめんだ。
十和子の全てを、先に知る奴が憎い。まだ知らない十和子を知っているのではないかと思う奴が憎い。
そうだ、そうだ。
奴の生首を土産にすれば
十和子は私を愛するのではないだろうか。
20100107
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