諦めネタ@-1

"五年は組には夜叉がいる。"

そんな出処が分からない噂が広まり始めたのはつい二週間程前だ。

先ず初めにその噂に飛びついたのは好奇心旺盛な一年は組。その名が入る四年生を尾行し始め事に始まり、可能性が無いと分かれば次に目が向くのは噂の学年。
しかし、此処では組の頭脳が気付く。五年生には組はない。五年だけには組がない。

手っ取り早く学園長に答えを求めれば、これは怪々、奇々怪々。五年は組はあるという。

ならば答えはただ一つ。


"五年は組には夜叉はいる。"





「ーーーーーと。言う結論が一年のよい子達からでたらしいんだけど。……どう思う?三郎。」

「有り得んだろう。抑、それを認めれば私達の他に五年生が居ることなる。…私が見付けられないなんてことは有り得ない。」

「…有り得ない。かは置いといて、もしそうであったのならかなりの実力者たどいうことは間違いない。」

団子を頬張りながら問う勘右衛門に、三郎は眉を潜めながら答えた。

その言葉に兵助が返し、考え込むように唸る雷蔵を横目に見た。

「うーん…。一年は組こ達は学園長先生に直接確かめに行ったらしいし、先ず僕達の学年には組が存在する事は確かだよね。…でもそうなると…。」

「在籍者いない組を態々あるなんて言わねぇだろう。"夜叉"かどうかは兎も角、確かに誰かはいるんだろうよ。」

八左衛門の言葉に固定の沈黙が走る。


その時だ。


スパーーーーンッ!!!

「見付けたーーー!!!!」


「「「「「?」」」」」」

勢いよく開いた戸の前にいた人物に否応無く身体が強ばる五人。

「!なな七松先輩…?」

「…ん?…アレ?…何だお前等だけか、紛らわしいな!」

キョロキョロと五人が集まっていた八左衛門の部屋を見渡し目的の人物がいないことに再び身体を翻した。

その背に三郎が慌てて声を掛けた。

「待ってください!七松先輩!俺達を"紛らわしい"とは…。一体誰をお探しなのですか?」

「ん?」

同調したように詰め寄る五人に小平太は少し考えるように首を傾げ、再びニッと笑った。

「細かいことは気にするな!只の"鬼事"だ!」

「……おにごと…?」

それではな!と消えた小平太に、五人の間に暫しの沈黙が流れる。


「…体育委員の活動かな…ッて!何処行くんだよお前等!」

驚く八左衛門を置いて四人は駆け出す。

「何言ってんの!八!」

「八ちゃん鈍いのだ。」

「六年生の気配がバラバラな所を見るとまだ位置すら掴めていないのか…。」

「とりあえず僕達は学園長先生の処に行ったほうが良くないかな?…あ、でも木下先生の方が…。」


「ちょちょちょ!ちょっと待てよ!!どう言う事だよ!!」


慌てて四人に追い付く八左衛門に三郎は向けようもない苛立ちと共に口を開く。


「"五年生は組には夜叉がいる。"…夜叉とは言い方を変えれば"鬼"の事だ。」

「!だからって"ソレ"がそうだとも…」

「それに七松先輩は態と俺達の処に来た。」

「なんと意図があるか分からないけど、態々"紛らわしい"なんて仰っていたのも俺達を嗾けるためだろうしね。」




「…いや、小平太がお前達の元へ向かったのは単純に"鬼"を追い掛けてのことだぞ。」


「「「「「立花先輩!」」」」」

開けた校舎裏に出た瞬間。屋根の上より掛けられた声に五人の足が止まる。

美しい直毛の髪を翻し五人の傍へ降り立った立花仙蔵に、思わず喉を鳴らした。


「……どうしたお前達、揃いも揃って似たような顔して。」

その答えなど理解しているにも関わらず敢えて尋ねる仙蔵に、三郎は額に深く皺を刻む。

「……先程のお言葉はどういうことでしょうか?」

「どうもこうもない。そのままの意味だ。」

「し、しかし!立花先輩!それなら僕達が気付かない筈が…!」


まさかと慌てる雷蔵に、顔色が悪くなる五人。張り詰めた空気が流れる中、近い場所で"鬼"を見付けたと声が上がった。
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