4時44分

朝の4時44分に起きちゃいけない。

そんな話しを知っててあたしはやってしまった。





4時44分






クラスの休み時間の時に親友の奈那美が突然こんなことを言った。

「ねえ、加菜知ってる〜?朝の4時44分に絶対絶対絶〜対起きちゃいけないんだって!!!」

「へえ〜…、どうして?」

あたしは少し興味が無さそうに聞く。


「あのね〜、この世界と全然違う世界にいっちゃうんだって!」

「…そんな話あるわけないじゃん奈那美。もうすぐ休み時間が終わるよ。早く自分の席に行った方がいいよ。」

「そうだよね〜。じゃあまたあとでね〜。」

そこで会話は終わった。

だけどこの時もう少し話を聞いとけばよかったと思う…





その日の夜。

あたしは奈那美が言っていたことを思い出していた。


(全然違う世界か…。ちょっと行ってみたくなってきたかも…!)


そう思ったあたしは目覚まし時計を4時44分に合わせて寝ることにした。



(まあ、あるわけ無いけどね!!)










ーピピピピ、ピピピピ…

目覚まし時計が鳴る音であたしは起きた…。


(う〜ん…眠いなあ〜…)



とにかくあたしは、さっきから鳴っている目覚まし時計を止めて、今何時か目覚まし時計を見た。



(……。ええ〜!?)



目覚まし時計を見ると、
4時44分44秒の所でみごとに目覚まし時計が止まっていた。



(そう言えば奈那美の話だと全然違う世界に来てるんだっけ…。とりあえず服に着替えて外に行ってみよう!!)





階段を下りてリビングに行ったらお母さんがいた。


「お母さんおはよう。」

「おはよう加菜。そんなに慌てて、どこかに行くの?」

「うん。ちょっとね…。あ、でも学校行く時間にちかくなってきたら帰ってくるから!」

「何言ってんの?学校って何よ?新しくできた遊園地?」

「…!!とにかく行って来ま〜す!!」

「行ってらっしゃい〜。」





(学校が無いってどうゆうこと!?とにかく学校に行って確かめなきゃ!!)

とりあえずあたしは学校に行く道を歩く。


「加菜ちゃんおはよう。」

「あ…!隣の家の田中さん!おはようございます。今日もワンちゃんとお散歩ですか?」

「そうだよ。散歩は体にいいからね〜。ほら、ポチ。加菜ちゃんにごあいさつは?」


「おはようございます。加菜さん!」



「…は?えっ!?」

「じゃあね、加菜ちゃん。ポチ、もう行くぞ。」

「はい!!では失礼します。加菜さん。」


「は、はい…。じゃあまた…。」


(ど〜なってんのよ!?早く学校に行かなきゃ…!)










(…ついた。ここに学校があったは…ず……)


だけど、そこに実際にあったのは遊園地だった。


(な…、なんで〜!?)





「あれっ?加菜〜?」

なぜだか奈那美がいた。

「奈那美〜!!ねえ、ここに学校があったよね!?なんで遊園地になってんのよ!?」

「とりあえず落ち着いてよ〜加菜〜。学校ってな〜に?もとからここは遊園地だよ〜。」

(本当にど〜なってんのよ!?)


「それより加菜〜。遊園地で遊ぼうよ〜!!」

「…えっ、ちょっ奈那美。あたし行くって行ってない…」


あたしが奈那美に手を引かれて遊園地に連れていかれそうだったその時!!




「遊園地に行っちゃだめよ!!」

その声の聞こえた方を見ると、あたしと同じようにピアスをしたあたしと同じぐらいの女の子がいた。



「遊園地に行っちゃだめよ!!とにかく私について来て!!」

「あっ!ちょっと…!!」

あたしはその女の子に引っ張られた。

「早く!!」

「待ってよ!そんな早く走らないでよ…!!」





「ちょっと加菜〜!!………………ちっ!!……。」









あたしは遊園地とはだいぶ離れているその女の子の家らしき所でようやく解放された。

「ちょっと!あなた誰なの?なんで急にあたしを引っ張たのよ!!」

「私の名前はリエ!!あなたの名前は!?」

「加菜だけど…」

「じゃあ、加菜!!なんでこの世界に来たのよ!!この世界はあなたが来たら危ないのよ!!もう、もとの本来いた世界に戻れないんだよ!?」

「…えっ?それってどういうことなの!?」

「いい!?加菜は4時44分の世界に来た!ここまでは解るわよね?」

「うん。」

「4時44分の世界っていうのはね、加菜みたいな違う世界から来た人をこっちの世界の人間にしちゃうの!!そしてこの世界の住人を増やそうとしているのよ!!」

「えっ!?じゃあ奈那美は…」

「偽物に決まってるじゃない!!加菜をこの世界の住人にする為の!!」

「じゃあ、リエも…」

「冗談じゃないわよ!私はこの世界の住人じゃないわよ!!私は、加菜!!あなたを助けに来たの。」

「あたしを助けに…?でもこの世界から戻れないじゃないの!?」

「大丈夫!私は本来加菜がいた世界に帰れる方法を知っているから!!」

「本当に!?どんな方法か教えて!リエ!!」

「それはね、あれを見て!」

リエが窓の外を指していて、そこにはトンネルらしいものが見えた。


「あのトンネルの向こう側を目指して歩けば本来加菜がいた世界に帰れるのよ!!」


「本当に帰れるの!?」

「本当よ!ってか嘘は言わないわよ。さっそく行きましょ!!」

「うん!!」










「あともうちょっと歩けばトンネルよ加菜!!頑張って!!」

「はあ…はあ……」

その時。

「加菜〜…。探したよ…」

「…奈那美!?でもなんか違うような…」

「加菜!!そいつに近づいてはだめ!!」

「へ…?」

リエがそう言った瞬間、あたしはすごく強く腕を捕まれた。

「い…たい…」

「加菜!!!あんたもしかして…」

「…そう僕の名前は4時44分。この世界の王みたいな存在…。さあ加菜!僕の世界の住人になれよ!!」

「そんなの…、いや!!だってあたしは自分の本来いた世界に戻って、家族や友達やみんなに会いたいもん!!」

「どうして僕の世界はだめなんだ……くそおーーー…」

そう言って4時44分は消えてしまった…。

「…加菜行こう。」

「…うん。」










ついにあたしとリエはトンネルの前についた!

「すごく暗いね。」

「そりゃそうよ。トンネルですもの!」

「…それじゃあ行こうか、リエ!!」


「…私はここに残るわ。」

「どうして!?なんで!?」

「また誰かこっちの世界に間違って来ちゃうかもしれないでしょ?それに…」

「…それに?」

「4時44分が一人になっちゃうから…あんな奴だけど、きっと寂しいと思うから…。」


「そっか。じゃあ仕方ないね!!」


あたしが一人で行こうとしたらリエが…、

「加菜!!」

「何?」

「最後にピアスを片方だけ交換しない?」

「いいよ!!」





「なかなか似合ってるじゃん!!」

「リエも似合ってるよ!!」



「じゃあ本当に行くね…。」

「トンネルで振り返っちゃダメだからね。戻れなくなっちゃうから。」


「わかったよ。」


「じゃあね…」


「バイバイ…」



あたしは走ってトンネルの中を歩いた。





だんだん光が見えてきた…











ーピピピピ、ピピピピ…


(う〜ん…早く目覚まし時計を止めなきゃ…)

あたしは目覚まし時計を止めて、今の時間を見た。
(…!!7時ちょうどだ!!)


そして鏡を見ると…
ピアスは左右違うのをちゃんとしていた。

(やっぱり夢じゃなかったんだね…リエ…)



「加菜〜!!起きているんだったら朝ご飯食べなさ〜い!!」


「は〜い!!」





END
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