うたかたの。【4】
ゴワスが萃華を部屋へ案内するとお茶を用意してくれた。
「萃華も淹れ方を覚えておくといい。」
「はい、ゴワス様!」
萃華はニコニコしながら、ゴワスに手順を教えてもらい、お茶を淹れる。
萃華の手は、すり抜けることなく、しっかりとティーポットやティーカップに添えられている。
(先ほど私自身も、彼女の体に触れることが出来た。物も問題なく触れることが出来ている。・・・ではなぜザマスだけ?)
淹れ方を教えながら、片隅で考え込むゴワスをよそに、萃華は「見てくださいゴワス様!私にも出来ました!」と得意げに笑って見せた。
「ふむ、上手に入れることができたな。色も澄んでいて、君らしい。」
「・・?私らしい??」
「ああ。」
そう話しながら、ゴワスは萃華が淹れたお茶を飲む。
心配そうに見つめている萃華に、ゴワスは笑顔で「美味いぞ」と褒めた。
「えへへ・・・」と照れたように頬を掻いている萃華の頭を、ゴワスは軽く撫でる。
そこに、毛布と本を抱えたザマスが戻ってきた。
「戻ったか、ザマス。少しは休めたか?」
「はい、休憩をいただき、ありがとうございました。」
ゴワスに一礼するザマスは、顔を上げた後、萃華の方を見た。
目が合い、びくっと体を硬直させる萃華。
「あ、・・・」
「・・・・・。」
「えと・・・、おかえりなさい、ザマス様・・・。」
「・・・・・。」
ザマスは、少し間を置いた後、目を伏せ、小さな声で「ただいま」と呟いた。
「・・・!!」
萃華は初めてザマスとまともに会話が出来た気がして、嬉しくて胸の辺りがむず痒くなる。
「ザマス、萃華にお茶の淹れ方を教えたのだ。お前も飲んでみると良い。」
ゴワスの誘いに、ザマスはコクリと頷くが、
「まずは毛布と本を、自室に置いてまいります。」
と、踵を返して去っていってしまった。
(・・・今は、飲んでは下さらないんだろうな・・・。でもいつか、ザマス様に私が入れたお茶を飲んでいただきたい・・・。)
「ゴワス様!」
何かを決意したように、萃華はキラキラした眼差しでゴワスに話しかける。
「なんだね?」と首を傾げるゴワスの周りを、萃華は無邪気に飛び回ってこう言った。
「やっぱり、私はザマス様と仲良くなりたいです!今は嫌われてるけど・・・、ザマス様に好きになってもらえるように、頑張りたい!・・・これは、傲慢な望みでしょうか?」
萃華の無邪気で愛らしい発言に、ゴワスは「はっはっは!」と嬉しそうに笑った。
「傲慢なものか!・・その思い、きっとザマスにも通じるであろう!」
優しいゴワスの表情を見て、決心を硬くし、ぐっと拳に力を入れる萃華。
「頑張るぞ〜!」
萃華の淹れたお茶は、時間が経ち、少し冷めてしまったが、
それはそれは良い香りを放ち、とてつもなく純粋な色をしていた・・・。
- 6 -
戻る