うたかたの。【8】
ザマスと萃華の距離がグンと縮まったあの書庫での出来事から、
二人は毎日行動を共にしていた。
「ザマス様、この資料はどちらに?」
「ああ、それはゴワス様に渡してくれ。」
「分かりました。」
ザマスが萃華に仕事を任せる事が増えている。
その様子を影から見守っていたゴワスは、満足そうに微笑むのだった。
「二人とも、いつの間にやらすっかり仲良くなったな。」
萃華が、神殿の中庭でお茶を飲んでいるゴワスに、先ほどザマスに頼まれた資料を持っていくと、ニコニコと笑っているゴワスにそんな事を言われ、頬を染める。
「仲良く、見えますか?」
「ああ。近頃よく行動を共にしているようだな。」
「はい。」
嬉しそうに「安心したぞ」と言うゴワスの表情は優しくて、
萃華も自然と笑みがこぼれる。
和やかに談笑していると、後ろから話題の中心人物であるザマスがやってくる。
「ゴワス様、お茶をお持ちしました。・・・楽しそうだな、萃華」
「おお、ありがとう、ザマス。丁度お前の話をしていた所だったのだ。」
「私の話を?」
キョトンとするザマスに、ゴワスと萃華は微笑み合う。
「何です?二人で内緒話ですか?」
わざとらしくむくれるザマスに、ゴワスは悪戯っ子のように「ああ、萃華と私だけの秘密だ」と笑った。
二人のその様なやり取りが面白くて、
そして、そんなやり取りに自分も混ぜてくれたことが嬉しくて、
萃華は幸せそうに笑った。
「萃華まで、私を仲間はずれにするのか?」
「ふふふっ!」
「何を笑っているんだ!」
冗談半分にむくれているザマスも、とても楽しそうだった。
ゆっくりと温かく、時間が過ぎていく。
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その頃、第7宇宙の界王神界では、
「なんじゃと?時の指輪が?」
老界王神の声が響き渡る。
保管庫から指輪の箱を持って出てきたシンの表情はかたく、
不可解な現象に首を傾げた。
「はい。緑色の指輪が、気付かない間に増えていました。私はずっと星見をしていたのですが、星や時の運命がガラリと変わってしまうような出来事が起こった様子はありませんでした・・・。もしかすると、我々の知らない所で、もう既に違う運命が動き出しているのかも知れません。」
頭をひねらせるシンに、老界王神は焦った様子で尋ねた。
「何か、心当たりはないかね?・・・ほれ、こういう時は大抵孫悟空が関わっとるはずじゃ!この間も、あやつ破壊神様相手に暴れまわりよって・・・。」
気が気じゃなかったわい!とぷりぷり文句を言っている老界王神をよそに、う〜んと心当たりを探すシン。
そして、あることを思い出した。
「・・・これは、関係があるか分かりませんが・・・、」
シンは、第10宇宙の界王神界で出会った、幽霊の萃華について、老界王神に打ち明けた。
「彼女はどう見ても、第7宇宙の地球人でした。普通の人間の女の子が、何故宇宙までも飛び越えて、界王神界に現れたのでしょう・・・?」
「う〜む・・・、時の指輪の件と繋げて考えるには少々無理があるかもしれんが、調べるに越したことは無い。大きな運命の動きがあったかどうか、調べるぞ。」
「はい!」
誰もが気付かぬうちに、別の運命に進みだしていた世界。
果たして、この先に待っているのは、幸せな未来か?
それとも、破滅する未来か・・・?
それは神すらも分からない。
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