貴方を思って
次の日私は悩んでいた、そうそれはお礼の品についてです。え?そんなに深く考えなくても普通に何か贈ればいいって?そうなんでしょうけど…私にはとても難しい事なんです……
椛「どうしよう………」
縫い物をしながら考えてみる。元々人に贈り物をした事がないし、男の人になんて………一番いいのは父様や母様に聞くのがいいんだろうけれど恥ずかしくてとても聞けない
だって父様はきっと文次朗さんを探して見に行ったりしちゃうだろうし母様はそれについていって変な事をいっちゃうに違いない
だって桜が二つの時に村の男の子のたかし君すきーと言っていた時そうしていたから、それは避けたい
椛「一体どうしたらいいんだろう………」
桜「姉様姉様、私ね手ぬぐいとか紙紐がいいと思う」
椛「え?」
桜「文兄の贈り物でしょ?」
椛「えっまあ……そうだけれどよく分かったね?」
桜「だって姉様大好きだから私すぐ分かるんだもんっ」
抱きついてくる桜を抱きしめて、可愛いなあって思う。
椛「桜は手ぬぐいか紙紐がいいと思うの?」
桜「うんっ文兄は髪が少し長くて結っていたし手ぬぐいは毎日使うものでしょ?」
椛「髪結っていらっしゃったのね……」
桜「うんっ」
文次朗さんは髪結っていらっしゃったのか……文次朗さんをみれる桜が少し羨ましく思った。
椛「桜、町に出て文次朗さんの贈り物選びたいのだけれど手伝ってくれる?」
桜「うんっ」
私は縫い物を片付けると出かける準備をした、桜に手を引かれ町まで歩いて桜のいう方に進み小物屋へと向かった。
桜「こっちはね気持ちいいよっこっちはねかっこいい!」
桜が手ぬぐいを手に取るとそれを私の手にのせる、右のは上等の手ぬぐい左は右寄りかは劣るが刺繍がしてある
椛「うーんどちらにしようかしら………」
桜「姉様紙紐もあるよ?」
椛「あら、そうだったね」
桜「こっちは白いろーこっちは少し青い色だよー」
桜はまた手にのせる、紙紐は手触りとか変わらないからどちらも同じに感じる………困った
椛「どうしよう……決まらないわ」
桜「青いのはー?」
椛「こっちの紙紐の事?」
桜「うんっ文兄に似合いそー」
椛「本当?ならこっちにしようかな?」
桜が似合うというのならきっとそうなのだろうと思って青い方の紙紐を買う事にした。お店の人に言って包んでもらい汚れぬ様に風呂敷で包んで持って帰る。
帰り道、文次朗さんの名前を呟くと文次朗さんのお顔が見えそうな気がして………きっともっと素敵な方なんだろうと思った。
桜「楽しみだねー」
椛「そうね」
桜の嬉しそうな声を聞くとこちらも嬉しくって会いにいける日を心待ち遠しく思った。
土井「文次朗いるか?」
私は先日の事を伝えるべく文次朗の部屋へとやってきていた。まあ伝えなくても良いのだろうが椛と桜が文次朗に会えずに帰るのは可哀想だと思い伝えにきたわけだ。
文次朗「土井先生何が御用ですか?」
土井「いや、対した事ではない。次の休みの日にお前に来客があるからその日は大人しく学園にいなさい」
文次朗「来客………?」
土井「そうだ」
文次朗「あの、それは誰なんですか?」
土井「うーん…会ってからの楽しみだな」
文次朗「………はあ?」
土井「まあそれだけだから学園にいるんだぞ」
文次朗「分かりました…」
少し機嫌の良い土井先生を見送る、よく分からん何故俺に来客?しかも誰なんだ?
仙蔵「お前に来客…ねえ」
文次朗「んだよ………」
仙蔵「いや珍しいと思っただけだ」
文次朗「ちっ……出かけれねえじゃねえかよ」
そう、休みには会いにいこうと決心したばかりなのに、くそ………まあ仕方が無い先生から言われては誰か分からないが待つしかないんだろう
仙蔵「何処か行く予定だったのか?」
文次朗「いっいや………//」
仙蔵「………さては文次朗」
ニヤリとしている仙蔵をみて俺は顔を青したよりによってこいつに知られるのは嫌だ!面白がるに決まっているっというかもう面白がってる!
仙蔵「お前………」
ニヤニヤしてんじゃねえよ!くそっ胸くそわりぃ
文次朗「んだよっ」
仙蔵「吐くなら今のうちだぞ、さあ全てを吐いてしまえ洗いざらいはけ!」
ずびしぃ!と効果音のつきそうな感じで仙蔵は指を差す。
文次朗「………言わねええ!絶対に言わねええええ」
文次朗は仙蔵の問いから逃げた。追ってくるかと思って全速力で逃げたのだが仙蔵は追って来なかった、だから安心していた。
仙蔵は追う必要などなかった、何故なら同学年同クラス同室なのだから、ニヤリと形の良い唇とゆがませると面白い物を見つけたと呟いた。
仙蔵「良い暇つぶしになりそうだ」
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