会いたいのです
椛「………」
ここ最近頭にあるのはあの人の事ばかり母様や父様にまでぼーっとしていると言われるくらい頭の中は文次朗さんの事しかない
もう一度会いたいのです。もう一度頭を撫でて欲しいのです………はしたないと思われるかも知れません……触れられたいのです。
ゴツゴツとした手、分厚くがっしりとした手は何とも心地が良くて………触れられたい。
顔も知らないけれど優しい文次朗さんに恋をしました。たった一度会っただけで、顔も知らないから一目惚れでもない…けど一目惚れなのでしょうか??
声をかけられたい、名前を呼んで欲しい……そして触れたい
文次朗さんの事を考えると胸がドキドキして頬が熱くなる。
何も知らない文次朗さんの事をとても好きになりました。
椛「はあ………」
桜「姉様どうしたの?」
椛「ん?何が?」
桜「だって最近ため息ばかりついてるから」
椛「え?」
桜に指摘されてはじめて気がついた。私ったらそんなにため息ばかりついていたのかしら
桜「何か悩み事?姉様が悩んでるなら私解決してあげる!」
椛「ふふっ心強い見方だね」
桜「えっへん!桜に任せてね」
椛「実はこの前お会いした文次朗さんの事を覚えてる?」
桜「うんっ文兄のことだよね?」
椛「そうだよ」
桜「文兄がどうかしたの?」
椛「お礼をしたいから会いたいの。だけど文次朗さんは何処の誰だかわからないでしょう?それで悩んでいたのよ」
桜「ふーん。じゃあ文兄を探してくればいいんだよね?」
椛「まあ探してくるというか何処にいるか知りたいの」
桜「なんで?連れてきたらいいんじゃないの?」
椛「私はお礼をしたいのよ?お礼したいのにこちらにわざわざ来てもらうのは私が嫌なの」
桜「うーんよくわかんないけど分かった!」
椛「どうやって探したらいいんだろうね?」
桜「あっ!私いい事思いついたよ!」
椛「なあに?」
桜「あのね私の友達の団蔵くんのお家は馬借だからきっと色んな人知ってると思うの」
椛「団蔵くん?桜またお友達で来たの?」
桜「うんっこの前倒れてる所を助けたの!」
椛「ええっ倒れてたの?」
桜「えっとー確か授業でマラソンしていたんだってーそれで迷子になっていたらしいの。それで助けた時に仲良くなったの!」
椛「そうなんだ」
嬉しそうに話す桜の声を聞いて私も思わず私も嬉しくなった。
桜「また今度来るかもしれないって言ってたから私団蔵くんに聞いてみるね!」
椛「ありがとう桜」
褒めてと言わんばかりに抱きついてくる桜を抱きしめて頭を撫でるとえへへと照れてる桜の声、可愛いなあ
桜「姉様だーいすき!」
椛「私も大好きよ」
ぎゅっと小さな腕で抱きしめてくる桜をさらに抱きしめてやれば楽しそうに声をあげる。
また姉様の役にたてたと喜ぶ桜の声をきいていつも思う、なんでこんなに可愛いんだろうって
桜「団蔵くん早く来るといいねえー」
椛「そうね」
名前しか分からないあなた様ですが、きっと探します………何故貴方に惹かれたのか理由は分からないけれど、ここまで惹かれるのには何かあるのだと信じています。いえ、信じたいのです。
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