会った俺は
いつもの様に山で鍛錬をして帰ろうとしていた。今日は裏山の裏の裏の裏の……何処かの町の近くまで来てしまっていた。
程々に切り上げ帰ろうとしていると人の気配があった。いつもならほっといておく所だが声があまりにも綺麗でそれでいて切なくて、鈴の様な声の主を見たくて俺は引き寄せられる様にその方へと向かった。
するとそこには地面に座っている少女がいた。顔には包帯を巻いていた……俺を桜とやらと勘違いしている様だった。
違うと声をかけるとびっくりしていた用だった。まあ無理もないか桜とやらだと思っているのに男の声がするんだもんな
おずおずと謝ってくるこの少女はやはりあの鈴の様な声の主で、何と言うか……儚い感じだった。
俺は無意識に頭を撫でていた。というか気がついたら撫でていた。
触った瞬間体をビクつかせてしまったと思ったら頭を傾けてきた……俺はそれを嬉しく思い柔らかい髪の毛を優しく撫でた
それからはっとした様に顔を赤らめるあの子はとても可愛らしかった……包帯を巻いていて表情はわかりにくいが照れている様で耳まで赤くなっていた
俺はもっと色んな表情を見たいと思った柄にもなく。
力になりたいと思った、俺は妹の桜を探す手伝いをした。手を掴み人の気配を探った。細くて荒れている手は今まで見ていたおんなの誰の手よりも綺麗だと思った。
人の気配はすぐ見つかった。もう少しこの子といたいそう思った。だけど早く会わせてやりたいとも思った。だからまっすぐ向かった
桜を見つけるとあの子は声を荒げた。正直びっくりした、でも本当に心配したんだなって思った、見つけてやれて良かった
日が傾いてきて、そろそろ帰るかと思っていたら声をかけられた。名前を聞かれて一瞬教えるか迷ったが教えた
名前を呼ばれた時体に衝撃が走ったかの様に感じられた
たかが名前を呼ばれただけ、だけどもっと呼んで欲しいと思った
つい三日前のことだ、あの日以来頭の中はあの子の事ばかり。こんな事では良くないと分かっている………だけどまた会いたい
文次朗「三禁がある……」
苦虫を噛み潰したような顔をしてため息をついた。鍛錬をして汗をかけば何か変わるだろうと思い裏山に向かった
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