私はいつだって優しいさ
最初はただ暇潰しなだけだった。文次郎をからかう材料ができて楽しかっただけだ。いや、それは今も変わってはいない
まあ、要は興味本位だったということ
文次郎の様子がおかしいのはすぐ分かった、なんせ彼奴は堅物だからな
そんな奴が女にうつつを抜かすとはその日は筋肉痛に成る程笑ってしまった。いや、私は筋肉痛になどならないが
そしてその女がここ忍術学園に来るとなった時は文次郎は正気なのかと思ったがまあそれはすぐ把握した。
まあ、それよりも愉快。愉快すぎてご飯が御代わり出来るくらいに愉快だ
あの、文次郎がだ。あの堅物がだ、女に愛を呟き、優しくし、手を繋ぎ、抱き寄せる
もうだめだ、腹筋崩壊してしまうかと思ってしまった。いい楽しみを作ってけれたな文次郎
仙蔵「まあ、それよりも誰にもバレてないと思っている文次郎の姿が一番面白いんだがな」
そう呟くと、運悪く不運委員長の伊作に聞かれてしまっていたようで困ったように笑われた。
伊作「あんまりからかっては駄目だよ?」
仙蔵「馬鹿をいうな、私はそれを観て楽しんでいるだけだ」
伊作「仙蔵が文次郎をからかう姿が簡単に創造できるから忠告だよ」
仙蔵「からかうのはもっと先にするさ、邪魔が入ってしまって文次郎が怖じけついては面白くないからな」
伊作「全く…意地悪なんだか優しいんだか良くわからないんだから」
仙蔵「私はいつだって優しいだろうが、現にあの女を助けてやったんだから」
伊作「へっ?助けた?仙蔵椛ちゃんにもう会ったの?」
仙蔵「あっああ」
少し感情が高ぶってしまっていたようだな、余計な事を口走ってしまった。
伊作「椛ちゃんいい子だっただろう?」
仙蔵「そこら辺の小娘だな、少し器用な様だが」
伊作「口が悪いなあ、それでその小娘の椛ちゃんを何から助けたの?」
昔から苦手だ、伊作のこういう所。
しらを切るつもりだったがそうはさせないとでも言うように私を見ている。
こうなっては隠し事はできないか…
仙蔵「…はあ…文次郎には言うなよ」
一応口止めはしておく、あの女も文次郎にはいってはいないようだし、まあ、あまり知られたくもない事だろうしな
伊作「…分かった」
真剣な眼差しで私を見つめる伊作、全く私は馬鹿だな。こんな事隠して置くこともできないなんて
仙蔵「まず先にいっておくが未遂だ、私が未遂にさせた。」
伊作「何を」
仙蔵「そう焦るな、五年が文次郎に変装してあの女の部屋にいったのさ。
そしてあの女は文次郎ではない事を見抜いた、それで逆上し女の身ぐるみをはがそうとした、そこで私が止めに入ったそれだけだ」
伊作「そっそれのどこがそれだけだ。なんだよ!」
仙蔵「仕方があるまい、ここは忍術学園。忍者の学園なんだから疑うものが出てきてもそう可笑しくはない」
伊作「そうだけど…」
仙蔵「なんにせよ、未遂で終わらせているしそいつには忠告してやったのだからこの話はこれでおしまいだ」
伊作「誰なの」
仙蔵「五年だ」
伊作「五年生の誰なの」
仙蔵「さあな」
伊作がまだ何か言いたげな顔をしているが仕方があるまい、忍者学園なのだから
忍者なのだから、というか3禁破っている文次郎に怒ったほうがいいんじゃないだろうかと思ったがとりあえず今言うと怒り出すので黙っておく
伊作「全く!仙蔵はわかってない椛ちゃんが怖い思いをしたんだしっかり言い聞かせなきゃ!」
仙蔵「わかってないのはお前さ伊作」
伊作「どういうこと?」
仙蔵「あの女はこの事は文次郎に内緒にしている、文次郎は女の変化に気づいた様で尋ねてはいた様だが
それでも言わなかった」
伊作「なんで…?怖かったに決まってるのに」
仙蔵「知られたくもないだろう、他の男に触れられたことなど」
伊作「…そう、だね」
仙蔵「という訳だ、文次郎に言ってくれるなよ。私から楽しみを奪うな」
伊作「本当に、仙蔵は意地悪なんだか…わかんないなあ
でも、椛ちゃんを守ってくれてありがとうね」
仙蔵「私のためだ、他に意味などないさ」
伊作「そうだったね」
ふふっと笑うと伊作は何処かへいってしまった。
とりあえず今日は文次郎観察はやめといてゆっくりするか…
そう呟いて私は部屋に戻った。すると文次郎が機嫌良くい組皆の制服を集めているのを見つけ何か楽しいことが起こりそうだとまた文次郎観察をするのだった。
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