降り注ぐ光は



椛「文次朗さんお久しぶりです//」

文次朗「ああ元気にしてたか?」

椛「はい//」

桜「私はとっても元気にしてたよー!」

文次朗「そうかそれは良かった。じゃあ行くぞ」

椛「はっはい//」

桜「文兄ー私も繋いでー!」

文次朗「いいけど繋いだら走るなよ」

桜「はあーい」

椛「………//」

私と桜は手紙を出して2日後に学園に来ていた。門の外で文次朗さんは待っていてくれたみたいで申し訳ないな…って思っていたら偶々だと言われてしまった。

門をくぐって入門表にサインして移動すると同時に手を取られた。桜ではなく文次朗さんに…//ゴツゴツとしている手が私の手を包み込んだ。

頭を触れられ抱きかかえられた事はあったが手を握られたのははじめてでとても照れてしまった。

私の歩みの速度に合わせて歩いてくれて危なくない様に注意してくれる。文次朗さんの手から伝わる温もりに心臓が壊れてしまうのではないかと思う程ドキドキした

文次朗「ここが新野先生がおられる保健室だ、新野先生。潮江文次朗です」

戸の向こうから柔らかい声がすると私たちは入った。

文次朗「新野先生この前話した椛です」

新野「ああ、どうも私はここの校医をしています新野です」

椛「はっはじめまして山陰椛と申します、この度はよろしくお願いいたします」

桜「私は桜です!姉様をよろしくお願いします」

新野「そんなに硬くならなくても大丈夫ですよ、気を楽にして下さい」

椛「はっはい」

文次朗「椛さっそく見て貰うが大丈夫か?」

椛「はい……」

文次朗「そうかまあ…大丈夫。大丈夫だ…」

文次朗さんは私の頭を撫でながら大丈夫だと言った。文次朗さんがそういうと本当に大丈夫な気がして少し緊張がとけた気がした。

私は息を吐くと包帯を解いて新野先生に見てもらった。

新野「触れますよ」

新野先生は声をかけると私の目に触れた。目に触れ瞼に触り傷が完全に塞がっているのを確認してから優しく瞼を開いた。一瞬眩しく感じたが目から見えるのは黒でああ……やっぱり見えないんだって思った。

新野先生が両目を診察し終わるとよく頑張りましたねと優しい声をかけて下さった。

文次朗「新野先生………」

新野「はい、左は完全に見えないでしょう………ですが右は眼球に傷もついていなかったので大丈夫見えますよ」

椛「………え?」

桜「姉様の目見えるのー!?」

新野「はい問題ありません。リハビリをしていけば大丈夫でしょう」

椛「うそ………っ」

文次朗「良かったな」

桜「姉様大丈夫ー?」

ポロポロと涙が出てくる、嬉しくて嬉しくて仕方が無い。諦めていた目がまだまた光を映すとううのだから

嗚呼もうどうして貴方は私に光ばかり与えるのでしょうか、どうしてこんなに嬉しい事をしてくれるのでしょうか……心がポカポカして言葉になりません、感謝してもしきれない程嬉しいのです。

椛「っ……文、次朗さん、ありがとうございますっ」

文次朗「俺は何もしていない」

そういうと涙を流す私を抱きしめてくれてまた涙が止まらなくなりました。文次朗さんの匂いが私の鼻を擽る度に涙が出てきて桜が良かったね良かったねと声をかけてくれるから余計に涙が止まらない

暫くして私の涙が止まると一気に羞恥心にかられた。恥ずかしい!あんなに泣いてしまって文次朗さんに抱きしめられ桜や新野先生に見られてしまった!嗚呼恥ずかしい//

新野「仲がいいんですね」

なんていうもんだから何も言えなくなってしまいました。

文次朗「新野先生これから椛はどうしたらいいですか?」

新野「うーんそうですねえ、リハビリを行いたいので忍術学園に通院して貰いたいんですが椛さんでは通院が大変でしょうし……だから入院というか学園に泊まっていただけるといいんですが」

椛「泊まりですか?」

新野「はい、リハビリは毎日ゆっくりと時間をかけてやる方がいいので学園にいていただけると此方も楽なんです」

椛「ですが、入院費や治療費は………」

新野「そうですね、治療費はいりませんよ。だって薬は使わないですからね」

椛「でもそれでは………」

新野「そうですね……私が決める事ではないので学園長に聞いてむて下さい」

文次朗「そうだな、学園に入院するとなると顔も合わせておかなければならないからな」

椛「学園長先生……」

新野「緊張する事はありませんよ、とてもいいお方なので」

文次朗「そうだそんな緊張しなくても大丈夫だ」

桜「挨拶するんだよね?」

文次朗「ああ行儀良くしろよ?」

桜「はーい」

椛「はいっ」

文次朗「じゃあ行くか、では新野先生また後でお伺いします」

保健室を後にして学園長先生がおられる所に行った。学園長先生はどんな方なんだろうか……緊張して足が重く感じます



文次朗「学園長先生潮江文次朗です、少しお話があるのですが」

学園長「うむ入りなさい」

文次朗「失礼します」

椛「しっ失礼します」

桜「失礼しまーす」

戸の向こうから了承の声がすると私たちは戸をくぐった。


学園長「それで話とは?」

文次朗「私の隣にいる椛の治療費についてです」

椛「あのっはじめまして山陰椛と申します!」

学園長「ふぉっふぉっそんな硬くならずともよい、粗方新野先生からは聞いておる」

椛「はっはい、その私の目を新野先生がみてくれる事になりましてこの学園に入院する事になったんです、なのに治療費はいらないとおっしゃるので……」

学園長「儂に相談しに来たと言う事かのう?」

椛「はいっそのどうしたらいいでしょうか?」

学園長「うーむ……新野先生は何故治療費はいらないと?」

文次朗「薬を使う訳ではないからとの事でした」

椛「ですが、リハビリなどあるので一文も払わないなど……」

学園長「うむ……新野先生がそうおっしゃるならそうしてもいいんじゃが………まあ椛も心苦しいのであろう?」

椛「はい」

学園長「椛は何か出来るか?家事…はちと難しいかのう?」

桜「それなら姉様は裁縫がとっても得意だよ!」

学園長「ほう、手先が見えずとも裁縫できるのか?」

椛「はっはい、その対したものではありませんが…」

桜「そんなことないよ!刺繍とても綺麗なんだよー!」

椛「こっこら桜…//」

学園長「よし!それなら治療費変わりに椛にはお針子として働いて貰うとしよう」

椛「そっそんな事で宜しいのですか??」

学園長「この学園は制服を破く奴が多いからのう……だからとても助かるんじゃが」

文次朗「う………」

チロリと文次朗の方を学園長は見る文次朗は気まずくて顔を逸らすが椛は見えていないのでそうなんですか……なんて頷いていた

学園長「という事で椛お針子として頼んだぞ」

椛「はいっ精一杯やらせて頂きます!」

桜「姉様頑張ってね!」

椛「うんありがとう桜」

文次朗「では、一旦帰って着替えなど用意した方がいいんじゃないか?」

椛「そうですね」

学園長「うむ、今日は一旦帰って支度してきなさい。両親にはこれをヘムヘム!」

「ヘム!」

椛「ヘムヘム?」

桜「わあー立ってる!可愛い!」

「ヘム〜//」

椛「??」

椛はヘムヘムというのがよく分からなかった。桜が可愛いと言っているけれどどんなんだろう?鳴き声がヘムーってどんな動物なの?頭を抱えていると

文次朗「あーヘムヘムというのは学園に使えてる忍犬でな二足歩行してるんだ」

椛「はっはあ?」

文次朗さんが説明してくれたけれどよく分からなかった。忍犬…犬なの?うーん……

学園長「うぉっほん!椛これを両親に渡しなさい。儂が書いた手紙じゃ治療のため学園に留まる事と治療費の事が書いてある、これを見せれば安心するじゃろう」

椛「何から何まで心遣いありがとうございますっ」

椛は深く頭を下げた、こんなお優しい人に出会ったのはいつぶりだろうか、初めてあったのにここまで相手の事を気遣えるなんて……

学園長「頭をあげなさい、気をつけてくるのじゃぞ」

椛「はい、ありがとうございます」

文次朗「ではそろそろ失礼します」

学園長「ああ、ご苦労であった」

桜「学園長先生姉様をよろしくお願いしますー」

学園長「あい分かったぞ」

桜「へへー//」

桜は学園長に頭を撫でられ少し照れていた。

そうして学園長先生の部屋を後にすると門まで文次朗さんは送ってくれた。本当は家まで送ると言われたのだけれど断った。そこまでして貰ったら申し訳ないもの……

椛「では文次朗さんまた……//」

文次朗「ああ、来るのを待ってる気をつけてくるんだぞ」

文次朗さんの声は少々不満げだった。迎えに来てくれると言ったのも断ったからだろう……でもそこまで迷惑をかける訳にはいかないもの

桜「文兄姉様よろしね!」

文次朗「任せろって桜は来ないのか?」

桜「うん!姉様が家にいない間父様と母様がさみしがるから私は家にいてあげるのー!」

文次朗「お前優しいな」

椛「桜ったら、ふふ」

桜「だってー絶対さみしがると思うの!」

文次朗「じゃあ椛が留守にしている間家をしっかり守るんだぞ!」

桜「任せてよ!」

椛「とっても頼もしいね」

桜「でしょー!」

椛「じゃあ文次朗さんまた」

文次朗「ああ、気をつけて」

桜「またねー」

桜は時より振り返り手をふるのでそれに合わせて私も頭を下げる。嗚呼ふわふわふわふわとても心が軽いのです。母様や父様が目の事を知ったらどう思うのかな?喜んでくれるかな?

私はいつもより急ぎ足で家に帰った。父様と母様に手紙を見せて説明すれば父様と母様は泣いて喜んでくれた、つられて私も泣いてしまって……嗚呼私の世界にまた光が…色が見えるのか。

私の世界は文次朗さんに出会って地球が何回も回れる程変わってしまっています。
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