同じ時を過ごして


桜「文兄は元気だった?私はとっても元気だったよ!」

文次朗「俺か?俺はギンギンに鍛えているから元気だったさ」

俺は少しパニクっていた、どうゆう事なのか会いにいこうと思っていたあのこがやってきたのだ、俺のところに……やっぱり可愛い

目には包帯が巻いてあって顔は見えないが、唇の形や声、頬……結構表情豊かなのだと思った。桃の様に薄く赤い頬…赤くふっくらとした唇、鈴の様に綺麗な声…魅力的だと思った。

俺の一言で頬を緩める顔を見た時には理性がぐらついた………名前すら知らなかったあのこにこんなにも惹かれている。名前……椛というのか、似合っている、とても

団蔵「お茶を持ってきました」

桜の相手をして時より椛の顔を見る、それを繰り返していると団蔵が帰ってきた。

文次朗「ああ、すまないな」

桜「おかえりなさーい」

椛「こっこら!人様のお部屋で走ってはいけません」

パタパタと音を立てて団蔵の方へと走って行く椛は前に会った時も強く感じられた

桜「ごめんなさい……」

文次朗「俺は気にしてないから、桜も気にするな」

団蔵「お礼のしなは渡せましたか?」

椛「はい、これも団蔵くんのおかげだよありがとう」

団蔵「へへ//あっそうだ!良かったら忍術学園内を案内しますよっ」

桜「いきたーい!」

椛「駄目よ桜もうおいとまするわよ」

桜「ええー」

文次朗「その、急ぎの様でもあるのか?」

椛「いっいえ……特にありませんが//」

いきなり文次朗さんに声をかけられ頬が赤くなってしまった。

桜「姉様はここにいていいからー私だけいってくる!いこう団蔵くんっ」

団蔵「わっわわ!待ってよ桜ちゃん」

椛「さっ桜!?」

どうやら桜は団蔵くんの手をとりこの部屋から立ち去ってしまったみたい………どっどうしよう文次朗さんと二人っきり!?//

恥ずかしくて顔があげられなくて、つい鬱向いてしまう

文次朗「暫くすれば帰ってくるだろう、ここで待っていればいいさ」

椛「でっでも文次朗さんの迷惑でわ……?」

文次朗「いや、俺はもっと椛と話したいと思ってる」

文次朗さんの発せられた一言で私の顔は真っ赤に染まる、私と話したいと思ってくれてるなんて嬉しくって………それに私の、私の名前を//

椛「名前………//」

文次朗「すっすまん嫌だったか?」

焦ったような声が聞こえて私はすぐさま訂正した。だって誤解されてもう呼ばれなくなったら嫌だから

椛「ちっ違うんです、その嬉しくて……//」

文次朗「そっそうか………//」

畜生なんで、そんな可愛い事をいうんだよ…名前を呼ばれて嬉しいだなんて期待してしまうだろうか。というか顔が赤い……無防備過ぎだろう、そんな顔をされたら俺だって……っ

文次朗「椛と呼んでいいか………?」

椛「はいっ//」

何処からか文次朗さんの手が伸びてきて私の頭を撫でる、不思議と体はびくつかなくて……文次朗さんの手が私の頭を撫でる度に落ち着いた。

文次朗「っ……//」

時より除く赤く染まった耳が見える、照れているのだとすぐ分かる……こんな顔見られなくてよかったと思う、間違いなく俺も真っ赤だから…こんな所誰かにみられたら終わりだな。

文次朗「その、わざわざありがとうな……大切に使うから//」

沈黙がみょうに照れ臭くて、とっさにそう話した。

椛「はっはい//」

やっやばい話が続かねえ……こんな時何話したらいいんだ?くそ、こんな事なら伊作に聞いとくんだった…ん、そうだ俺は椛の事を知らないんだ

文次朗「その、椛はいくつなんだ?」

椛「今年で14になります」

文次朗「そうか、俺と一つしか変わらないんだな」

椛「そうなのですか?」

文次朗「ああ、俺は15歳だ、いつも15には見えないと言われるが……」

椛「声が低いのでもう少し年上の方かと思いました//」

そうか、文次朗さんは私と一つしか変わらないのか……なんだか嬉しいな//

文次朗「その…椛の目の事、聞いてもいいか……?」

会うのが二回目でこんな事聞くなんて良くない事なんて分かってる、だけどどうしても聞きたかった

椛「はい…つまらない話ですが文次朗さんが聞きたいのであれば」

嫌なそぶりを見せないでそう言った椛の声はなんだか切なそうで俺は聞くんじゃなかったと少し思った

椛「私が四つの時山で遊んでいた時熊に襲われたんです……その時にひっかかれ右が失明その後転けてしまった時に石が刺さり失明したんです……」

文次朗「すまない………思い出させてしまって」

椛に悪い事をした……やはり聞くべきではなかったのだと思った、本当にもう……もう見えないのか?

椛「いえ、気にしないで下さい……私はもう気にしてないので」

文次朗「そうか……」

椛「今度は文次朗さんの事を教えて下さい…//」

文次朗「俺の事………?」

先ほどとは違いまた頬を染めて俺の事を聞きたいという椛…俺の事…って何を話せばいいんだ?

椛「文次朗さんの姿や顔は見えないから知りたいです」

文次朗「俺は、そのどちらかというと口が上手くない…」

俺は椛の手をとった。

文次朗「俺がどんな顔をしているのか上手く伝えられない。椛の手で感じ取ってくれ」

椛の手を開かせ俺の頬に添わせるもう片方の手も…細く柔らかな手が俺の顔を包み込む

椛「あっあの//」

文次朗「なんだ?」

椛「あの、その……触ってもいいんですか?//」

文次朗「ああ」

短く返事をすると椛の手は恐る恐る動いた、ゆっくりと頬から上に下に探る様に。髪の毛に触れ、おでこを触り眉毛を触る、瞑ったままの目に触れ唇に顎に

椛「お顔立ちがなんとなく想像出来ました…ありがとうございます//」

文次朗「あっああ…//」

俺は椛の手が離れた後とんでもない事をしたのではないかと思った。触れられた所が熱い…

椛「男の人に触れたのは初めてに等しいので少し、緊張しました…//」

文次朗「そうなのか……?」

椛「はい、失明して以来外にはあまりでないので」

文次朗「そうなのか、なら………」

桜「ただいまー!」

団蔵「待ってよ桜ちゃーん!」

俺が言葉を発しようとした時桜と団蔵が帰ってきた。タイミング悪いな……

椛「あ、桜団蔵くんおかえりなさい」

団蔵「ただいま」

桜「ただいまー」

椛「桜帰ってきたのならもう帰りましょう」

桜「えーー!?」

文次朗「帰るのか?」

椛「はい、折角の休日にお邪魔してすみませんでした。私は足が遅いのでそろそろ帰らないと夜になってしまいますので」

団蔵「それなら今食堂で駕籠の人たちに待ってもらってるのでそれでお帰りになってください」

椛「わざわざありがとう」

桜「んー団蔵くん文兄さようならー」

団蔵「うんまたね!」

椛「では文次朗さんさようなら」

文次朗「ああ、またな」

もう帰ってしまうのか……もう少しいて欲しいと思ったが俺の都合だけで決めてはいけないと思い言わなかった

団蔵と門まで送り再度紙紐の例を言った。桜は名残惜しそうで子供らしいなと思った、椛はそんな桜に困った様にしていた。

椛「では………団蔵くん今日はありがとう。文次朗さんもありがとうございました」

桜「さよならー」

団蔵「またねー」

門をくぐる時俺は無意識に身体を動かし椛の手を掴んだ

椛「あっあの……?//」

文次朗「今度は…俺が会いに行く」

椛「え、あっはいっ…//」

桜「わーい来てくれるのー?」

団蔵「////」

文次朗「まっまたな//」

そういうと手を離した。団蔵がいる事を忘れて俺は…//ものすごく恥かしい

椛と桜を見送った後、団蔵に顔を赤らめながら頑張って下さいと言われたので恥ずかしくて顔が見れなかったが、誰にもいうなと釘をさすのは忘れなかった
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