そこにいるだけ
「ショックウェーブ、ショックウェーブ、ねえショックウェーブ」
「、。ー、」
「地球語じゃないと分からないよ」
ショックウェーブに連行されユズは研究室に閉じ込められた。
彼の研究欲を満たす手伝いは確かにしてやれるが、なにも話さない彼と2人ここにいるのは相当暇である。
「話し相手くらいなってくれてもいいでしょ」
「黙ってろ」
「黙ってたら何か話してくれるの?」
「………」
無視か、と、ぽつりユズは呟いた。そしてまた沈黙。ユズからは、ショックウェーブの後ろ姿しか見えない。
彼が今どんなことを考えて、自分にどんな興味を示しているのか、なんて全く想像がつかない。考えても解らないのですぐにやめて、それでも、ショックウェーブから何か話してくれるかもしれないと我慢強く待つことにした。
「お前と」
やっと聞こえた彼の声に、ユズ
は体を起こしピシッと背筋を伸ばし言葉を待った。
「こうして過ごす時間は、悪くないと、思っている」
想像していなかった言葉に、ユズはポカーンと口をあけてしばらくその状態でショックウェーブの背中をみていた。だが座っていたところを降りて地面に足をつき、彼の前まで足を走らせニコッと笑って見せた。
ぎょろりと光る真っ赤なひとつ眼と視線が合う。
今度から、何か暇つぶしの道具でも持ってこようかとユズは思った。
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