飴と鞭
※指姦
どう把握すれば良いのかは不明だが、例えるならば身に覚えのない罰を与えられている様な感覚である。
彼の一部であるコードで体を固定され、テーブルにうつ伏せになっているために背後の状況は全くわからない。
ただ、触れられている部分の性感帯が恐ろしいほど反応するために、起こっていることの事実だけは理解できた。
「さ、サウンドウェーブっ?」
呼んだところで返事はない。その代わり、あの細い指が、膣の割れ目をゆるゆると行ったり来たりとしている。腕に力をいれてみるも、さらに強い力がのしかかってくるだけで、結果的に全く変化はない。
何も答えてくれる気配がないまま、ゆっくりと異物が侵入してくる。それはひやりと冷たく、同時に悪寒が背筋を凍らせた。
「さ、うんどっぇーぶ!まっ、ひゃあ!やめ」
なぜ、どうして、という疑問よりも羞恥が勝った。ディセプティコンの目であり耳である彼にあられもない声を出しているというこの状況に。どこにも隠せはしない、全てをさらけだすしかないこの劣勢に。
相手の姿が見えない態勢にも要因はあるだろう。
どちらにせよ、表情も言葉もないサウンドウェーブの思考など読めるわけではないが。
紙が水を吸うように、じわりじわりと侵蝕されていくようなリズムである。内壁を擦り、緩くかき混ぜられ、時には特に弱い部分に触れられる。急かしたりも、焦らしたりもしない。ただ時がくることを知っているのだ。
きもちがいい。
意志とは裏腹の、言葉の代わりにまた喘ぐ。
「あ、あ、だめ、いやあ!やめて、ほんとにもうっ、ん!」
せり上がってくる快楽から逃れようと必死でもがくのだが、ピンで止められた虫のように無駄なことだった。
腹部に力が入り、膣の入り口はきゅっと収縮し、びくびくと体が震えた。
絶頂に達してしまったことに気づいて愕然とする。この無感情で理由もわからない行為に、どう意味を持たせたら良いのだろう。あまりの孤独に泣き出したくなった。
だが、なんの躊躇もなく近づいてきた片方の手が優しくユズの頭を撫でた。これが褒美だというならもう少しの間浸らせてくれればいいのに、あっさりと離れて行ったと思えば背には彼の体重を感じる。
首をひねってやっと彼の顔を確認できた。バイザーには、溶けてしまいそうに高揚した自分が映っていた。
「趣味悪いよ」
当然、答えはない。
「…絶対に誰にも見せないでね。私も、サウンドウェーブにしか見せてないんだから」
彼の優しさを独り占めしているような感覚に陥り、最初の不安も不満も吹き飛んでしまった。げんきんな自分に呆れ返ってから、ついでに言っておかなければならないと気づく。
「聞かせるのも無し」だと。
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