WORLDS OF MY HEART








世界の片隅で君を愛した。












ホテルの広い廊下にて。

探し人はビップルームに泊まっていると超直感も使わずに理解した綱吉は、真っ先に最上階へと向かう。




「じーおー。」

そしてドアの前、綱吉は焦っていた。
テスト間近だというのに授業で聞きそびれた場所があった事に気が付いた。
時計を見れば、もう少しで短針が夜中の2時を差そうとしている。

時を遡ること数分前。
こんな状況はさすがに友人に行く訳にはいかず、近場のホテルで仕事をしているジョットの所へ来た。
そして今、
最上階のやけにデカいドアの前で探し人の名を呼び続けている。




「じーおー、しょだいー、ぷりーもー、じょっとー、いえやすー。」

かれこれ10分も呼び続ければ誰でも飽きるであろう。
いろんな呼び名がある探し人は一向に姿を現さない。
部屋は間違えていないはず、
自分の超直感を信じてドアに手を掛けた。




「……お邪魔しま‥す。」

ひっそりとした部屋に足を踏み入れる。
綱吉は覚悟を決め、深呼吸。
起きてなかったら叩き起こして、わからないと(言わないけれど)言わせずに教えてもらって、押し倒されたら朝帰りはしょうがない!




「何が押し倒されたら、だ。」

「う、わぁああーーッ!!?」

リビングらしき所へ辿り着いたと同時に背中から何か気配を感じた。
気付かなかったのは少しだけ不覚。
誰だ、と言わずともわかるこのテノールの声は。




「じっじじじじジオ!」

「人の事をあれだけ呼んでおいてその言い草は何だ。」

「え、ぁ。
ちょっと…、ね。」

そこにはジオ、改めジョットがいた。
今にも眠たそうなジョットに今までの経緯を説明して勉強道具を差し出すと、「自分で調べろ」と言われてしまう始末。
本人はかなり眠たそうだ。




「ちょ、ジ」

「じゃぁ俺は寝るからな。」

早く帰らないと夜が明けるぞ、と頭を掻き上げながら言うジョットは寝室のドアをバタンと閉めた。




「……………。」

一人リビングに残されたツナは、有無を言えずに立ち尽くしていた。
何だか後ろめたい気持ちになる。




「……っ」

肩が震えた。
もしかしたら飽きられたか見離されたような感覚がする。

『自分で調べろ』

あんな一言でも簡単に傷つけられたような自分がもどかしい。




「……ふ…ぇ…ッ。」

声は堪えてはいるが何故か涙は止まらない。
望んじゃいないけれどこんな乙女な心情になったのは初めてだ。




「ジ…ォ、のケチ‥馬鹿ッ
意地っ張り‥ッ女たらし……ふぇ。
変態ッ」

乙女心とは裏腹に愚痴を言い続ける綱吉。
これは世間的に強がりとわかっていても止まらない、止まりそうにもない。




「この金パ…ッ
ひいひいひい爺さんのくせに何でそんなに若いんだよッ……ぐす。
ぁ、くしゅみッ…。」

「……凄い物言いだぞ。」

ドアがガチャリと開けられて、泣きじゃくっている綱吉をジョットは寝室へ入れようとする。
だが、プライドが許さないのか素直に入ろうとはしない。




「そん、なので…許さないからッ
ジオのバカ‥ッん。」

軽いため息を吐いたジョットはちゅ、と軽いリップをする。
うるさい、とでも言うかのように。




「っ
だ、から……許さな‥いってッ」

「バカはどっちだ。」

腰を押さえられ、腕は脇の下から後頭部を押さえられる。
これでは逃げられない、早く帰りたいのに。

恥ずかしさのあまりジョットの舌に付いていくのが躊躇われる。
しかし引っ込めていた舌は、さらに深く唇を重ねてきたジョットの舌に抉りだされて絡められる。




「ン、ふぅ…んッ」

涙を流しても止まりそうにもない。
綱吉はドンドンとジオの胸を叩いた。




「ッぷ‥は、ぁ。
ぁ、はぁ……も、馬鹿ッ」

「お前よりかは知識は豊富だぞ。」

「も、喋らないでッ
心臓…爆発しそうな、の!」

「………。」

ジョットはその言葉に熱が籠もるのを感じ、綱吉の腕を引っ張って寝室へと入らせた。
何、と反抗させる暇も与えずにお姫さま抱っこをした綱吉をベッドに投げ付ける。
ネクタイに手を掛けながら笑顔を見せるジョットに、少しの恐怖心はあるが嬉しかった。




「ん…ジ、オ……。」

「さて、“変態”は頂けなかったな。」

スッと白い腕が綱吉を誘導し、包容する。
求めるような甘い声が自分から出てしまった綱吉はジオの唇にキスを落とす。
そして顔を隠すようにジョットの胸へ飛び込んだ。




「不満なんだろ。」

「ぇ………?」

「欲求不満。」

そのままゴロンと寝返りをうてば、押し潰されていた綱吉が隣にいる。
しかも真っ赤な顔で。




「…………よくガッコウなんかに行けるな。」

これだけ俺に甘えておいて、と綱吉の頭を撫でた。
茶髪の髪は気力なくベッドの上に散らばっていく。




「睡眠は勉強する前の貴重な時間だ。
まずは寝ろ。」

「ん…、ジオ‥は?」

「……………。」

「…空気は読むんだ。」

「さすがにな。」

体を起こしても腰にまわされた小さくて細い腕は解かれない。
ジョットは異常に甘えてくる綱吉の態度にのせて、一旦腕を解かせると首へと誘導した。

そして上からシーツをかければ、もはや寝る態勢。




「ジ、オ……?」

「何か問題でもあるのか。」

今にもキスができそうな距離のなか、服の中に手を入れられて擽ったそうにする綱吉に軽いリップをして目を閉じる。







つかは果ててゆく命
出来るなら眠る..
(これだけ密着していれば離れる事はないだろう)
(たった数時間の幸せ)




*****
明日のことは絶対忘れ去られています(ぇ)
KAT/TUN曲お題にて更新作品。

08,10/23[完成]
08,12/29[更新]
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