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※メイド骸&裏注意








「白蘭様、どうぞ。」

「あぁ、ありが…ぶッッ」

背後からマシュマロを差し出されたかと思ったら、メイドがいた。
しかもよく知った顔の。




「クフフ、飲み物が気管に入りましたか?」

「いや…君の姿が刺激的だったからね。」

「こんなことで気が散ってしまっては、ボスの名が泣きますよ。」

メイドは白蘭の口元をナプキンで拭く。
異常事態に驚いていた白蘭だったが、とりあえずメイドの様子を見てみた。

前髪が真ん中から少し左のところで分けられ、後ろ髪は綺麗に整えてピンで止めている。
いつもの格好に一工夫してオシャレをするのは構わない。
だが何故この衣装を選んだのかが気になった。




「‥でもさ。
その格好をしたってことは、ちゃんと主人のために働いてくれるって解釈でいい?」

「どうぞご自由に。
僕はある方に、白蘭様を見張っておけと言われたので。」

「ははは。
じゃぁその部下にまた贈り物をお願いしたいんだけど。」

「ダメです。
仕事してください。」

「手厳しいなぁ。」

白蘭の目の前には、たまりにたまった書類と、大量の白紙。
今日やる仕事は、書類に目を通すことと、報告書を作成すること、らしい。
だが白蘭は、白紙を撤収させろと言った。

今はグローバル時代。
手書きで報告書を作成するより、会合で報告した方が手っ取り早いのだ。
しかしメイドは従わなかった。




「れっきとした証拠が手元に必要なんです。」

「それじゃぁ会議を録音でもすればいいじゃん。」

「白蘭様、仕事を減らそうとしても無駄ですよ。
早く終わらせてください。」

「はぁ…できるメイドはさすがに流されないか。」

もしドジっ子だったら、
言葉攻めを武器にして仕事を減らせたのに。

骸は鉄ゆえに叩いても折れない。
甘い熱で溶かされている時だけ素直になる。
遠回しに誘惑してくる骸を可愛がってあげようと思っていたが、仕事が終わらない限り遊んでくれないらしい。




「…やるしかないか。」

白蘭は面倒臭そうな顔をしながらも、1番上の書類を取った。
書類とは言っても、仕事から遊びまでレパートリーは様々。
部下からの要望や、他ファミリーからの手紙。
それにパーティーやお茶会の誘いまである。

だが1枚1枚丁寧に読まなければいけないことに変わりはない。
ちゃんと最後まで読まないと、隣のメイドから鉄拳が飛んでくる。




「メイドってさ、普通はおしとやかなイメージなんだけど。」

「僕は普通ではないので。」



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