続き↑
私の出身はカントーだ。トキワに生まれ、不自由な生活はしたことはないが贅沢な生活もしたこともない。所謂、平々凡々というやつだ。そんな私も11歳の時に旅に出た。元々インドア派な私は早く終わらせて家でダラダラしたいとそんな気持ちで旅を始めた。当然の如く、壁はぶつかってくる。苦手なタイプなジムリーダーや悪の組織。気付けば、「旅なんて止めたい」が私の口癖だった。それでも、旅を諦めなかったのは好きな男の子が居たからだ。私は相手を異常状態にしてじわじわと倒していくスタイルだったため、よく私と戦ったトレーナーは文句を溢していく事が多かった。そっちが吹っ掛けて来たくせに、と悪態をよくついていた。でも、彼は違った。
「お前のバトルスタイル嫌いじゃないぜ、また戦ってくれよ!」
バトルは負けたけれども、こんなにも気分が良いバトルは初めてだった。この人と隣を並んで歩きたい、何て今思えば悶えるほど恥ずかしいのだが、そのときの私は真剣だった。あのときまでは.....。
「好きだ、付き合ってくれ」
私が最も望んだ台詞。その為だけに人生を掛けたと言ってもいい。それなのに。それなのに。その言葉は私ではなく私よりも可愛らしい少女に向けられている。こくりと頷く女の子。人生最悪なシーンに出会した私は咄嗟にリザードンで家へ帰り、一晩中涙が枯れるまで泣いた。初恋と旅は同時に終焉を告げた。それからは、オーキド博士の薦めでアローラで研究員としてポケモンを調べることとなった。そこでハウとは出会った。劇的な出会いでもなかったのだが、そこから彼とはちょくちょく連絡を取るようになった。ハウ。越えられないと諦めた私と違いいつまでも逃げずにぶつかっていく姿は私の理想だった。逃げたら楽だが、逃げた先は暗闇だから。その言葉は大嫌いで大好きだった。ハウ、ハウ。
「ハウ.....」
「あれー、起きたのー?」
現実世界とは思えないほどのおぞましい場所。周りには私とハウ、そして数体のウツロイドしか居らず、ハラさんやミヅキちゃんの姿はなかった。あのあと、どうなったんだっけ?あれあれあれあれ??
「記憶が混乱してるんだねー。仕方無いよ、あんなに血が出たら吃驚するもんね」
記憶が混乱?血?
「大丈夫。ミナギクに危害は加えるつもりはないよ。裏切らない限りはねー」
楽しげに笑うハウ。これがハウの幸せ?
「うん、幸せー。嫌なものがない世界。何も気にしなくて良い世界。ここは俺の世界なんだー」
「そんな素晴らしい世界に私は居て良いの?」
「うん、だって俺ミナギクのこと好きだもん」
強引な口付け。まるで烙印のような初めてのキス。そして、ハウは続ける
「ずっと、ずっと、愛してあげる。だからさー」
「!?....ハウ!?」
___ミナギクも此方に堕ちてきなよ
あとがき*
初作品ですが、色々と病んでるし、最後無理矢理終わらせた感が....。また、いつか続きを書けたらなぁ。ちなみにミナギクちゃんの好きな子はグリーンだったり...。
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