地球最後の呻き声( ハウ )
___ハウがウツロイドに寄生された
博士から連絡が来たとき、今までにらめっこしていた論文だとか大切な書類さえも撒き散らしながらリザードンをライドした。自棄に風が冷たく、不協和音を奏でる。場所はヴェラ火山公園。すでにハラさんやミヅキちゃんは到着しており渋い顔で上空を見つめていた。ハウのお母さんは泣き崩れておりハラさんに支えられ、嘆き悲しむ声が其処ら中に渡る。そこに居たハウは、いつもみたいに太陽のような明るさを持ち生き生きとした様子は欠片もなく、笑みは浮かべているものの瞳はギラギラとしており黒目も黄金に変わっていた。
___あのときと同じだ
ミヅキちゃんは誰にも聴こえないような小さな声でそう呟いた。私は直接見てはないがエーテル財団代表だった人もかつてウツロイドと合体したらしい。今はカントーで養生してるらしいが....。
「皆、皆、消えちゃえば良い。そうだよ、どう頑張っても勝てないなら消しちゃえばよかったんだー」
まだ声変わりもしていない少年の声が響く。いつも、頑張って、いつかは勝つんだと特訓に入り浸っていたハウ。止めちゃえば良いのに、何度もそう思った。何度か忠告したこともある。そんなとき決まってハウは「逃げたら楽だけど、逃げた先には暗闇しかしないんだー」と儚げに笑うのだ。その度に私はドキリとしてしまう。実際に逃げた私は今もその時の事を後悔し、イライラが止まらなくなってしまうのでなるべく思い出さないようにしている。逃げた私とは違い、蕀の道だとしても突き進んでいくハウ。そんな彼が全てを吹っ切らせ、今までの蟠りをとかしていく。泣き声やら何やらで阿鼻叫喚の中、私はただ、ただ、彼の姿を美しいとそう思わずにはいられなかった......。
続きます→
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