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【Sside】
「お前を迎えに来た」
突然、告げられた一言。
逃げても逃げても俺を追いかけてくる獣は、人間に近い姿をしているが人間ではない。
「迎えって・・・」
首を傾げるが、よく分からない。
「何言ってんの?ジュン」
「そのままの意味だ。一緒に行こう」
ブンブンと横に振る。
『迎えに来た』という事はジュンの住む世界に連れて行くことだろう 。
「お前は俺の玩具だ。俺の言う事は絶対だ。逆らう事は許さない」
逃げようと走るがすぐに追いつかれ手を掴まれる。
「拒絶するなら無理矢理でも連れて行く」
ギュッと手を握るのを強くする。
「・・・痛ッ」
あまりの痛さに顔が歪む。
「行こうか?」
それでも、横に振る。
「・・・そう、仕方がないな」
ドスン 腹に衝撃が走り、そのまま意識が黒くなった。
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