五年後春快。
性的描写そんな無いけど、微微エロ注意。
















離れ離れになって、五年経って、漸く会えて。



「ハルっ。」

ぎゅっと抱き着けば、抱き返してくれる大きな、力強い腕。

「ハル、ハル………。」

「……何だよ。」

何度も名前を呼べば、面倒くさそうに返ってくる反応。
苦笑しながら、ハルの頬にキスをした。

「お前………。」

「え、あれ?嫌だった???」

思ってた反応と違い、若干不機嫌が混ざっている。
いきなりしたから怒ったのかな、と困惑していると、顎を持ち上げられた。

「ハル……?」

「お前、この五年間他の誰かにこんなことしてねぇだろうな?」

「は?」

真剣な顔で問うから、思わずポカンとしてしまった。

(もしかして………)

「心配、してく……んんっ?!」

不意に、持たれていた顎を引かれたと思ったら、口づけられた。

「んっ苦し……っぁ。」

苦しくて口を開けば、迷い無く入ってくるハルの舌。

「ふ、ンふぁ……っ。」

「……ん。」

舌をちゅうちゅう吸われる度、脚がガクガク震えて、とうとうハルに押し倒される形で、倒れてしまった。
なのに、ハルは唇を離そうとしない。

(おかしく、なる………っ!)

いや、もう既になっている。
五年間、メールや電話のやり取りだけで、会うことなんて出来なかった。
だからこうして触れることは、本当に久しぶり。

ハルのざらついた舌がくちゅ、ずちゅっと自分の口腔を乱暴に擦るから、もう何も考えられない。

「ぁっ、」

ハルのごつごつした、けれど綺麗な手が、僕の服のボタンを外し始めた。

(やば……、もう、息が……。)

そう感じ始めた時、やっとハルは唇を離した。

「っ、はぁ、はぁ………っ!」

ハルの唇と、僕の唇を繋ぐ銀の糸が切れる。

彼は、唾液と涙で濡れた僕の顎を一舐めした。

「キスだけでそんなエロい顔しやがって。そんなに悦かったのかよ?」

「なっ、違っ?!」

ぼあふっと顔が熱くなる。

「ふーん……まぁいい。それより、さっきの俺の問いに答えろ。」

「さっきの、問い?」

―――お前、この五年間他の誰かにこんなことしてねぇだろうな?―――

(そんなの、)

するわけないのに。
ハル以外となんか、出来るわけ無いのに。

「……じゃあ、ハルは?」

「あ?今は俺が聞いて、」

「濁さないでちゃんと言ってよ!」

ハルはモテるし、捜査でも女性を抱く。
だから心配なのは僕じゃなくて、ハルの方だ。

「……はぁ。」

「……あっ、」

溜息をついたハルに、内心焦る。

「ごめ、嫌いになった………?」

「いや、」

押し倒された状態で、強く抱きしめられた。

「は、ハル………?」

「カイ。」

ドクン、と心臓が鳴った。

電話でも、メールでもなく、本当の、ハルの口から紡がれる僕の名前。

「お前以外なんか興味ねぇ……。」

「それって……。」

(五年間、ずっと僕だけを想い続けてくれたってこと……?)

だとしたら、それはなんて幸せなことだろうか。

「僕も、」

「?」

「僕も、ハル以外なんて嫌だよ!」

「!当たり前だ。」

ハルは不敵に笑うと、僕の首筋に吸い付いた。

「っ、ハル…………!」

「触れられなかった五年分、愛してやるよ。」

首筋に付けられた朱の華。

(もっと、)

もっともっと触って。

もっともっと刻み付けて。

もっともっと愛して。

「カイ、」

「ぁ、ハル………っ。」

「愛してる。」

瞬間、僕の心が満たされた。






(今感じているのは他でも無い貴方だけ)




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リゼ