好きの反対、の反対

「刹那、ホットミルク……良く眠れるぞ」
「ありがとう、ニール」
こうやって、眠れない夜に作ってくれる蜂蜜入りのホットミルクも。
「刹那、ほら、林檎。今日はうさぎさんだ」
「……子供扱いするな、ライル」
たまに切ってくれる林檎も。
本当は嫌いじゃないんだ。
でも、素直になれないから。

「「刹那」」
同じ声、同じ顔。
少し違うオーデコロン。
同時に降ってくるキスの雨。
「……好きだよ」
「愛してる」
ニールは柔らかく、甘やかす様に俺に触れて。
ライルは甘えてくる様に俺に触れて。
「「…な、刹那俺の事」」
「好き?」
「……嫌い?」
耳元で囁く甘いテノール。
頭が狂わされそうな声。
強く抱き締められて、押し潰されそうだ。
「………っ」
視界の半分を占めるエメラルドグリーンが、訴えかけてくる。
「……好きじゃない……って言うわけ無いだろっ……」
精一杯の告白。(好きだなんて、あいつらみたいに正直に言えるわけ無いだろう!)
その瞬間に、俺はニールの腕の中(本当に小さな違いだけど、オーデコロンの違いでわかった)にすっぽりと収まってしまった。
「刹那、有り難う、大好きだよ」
「兄さん、抜け駆けは禁止だろ!」
「残念、早い者勝ちって言うだろ?」
ぎゃあぎゃあと喚く双子(これでも俺より八歳年上なのが信じられない)に、どうにか静かになって欲しくて、半ば噛み付くようなキスを二人の頬にする。
「……!?…刹那っ?」
「あ、え?……せ、刹那…?」
「俺は、二人のものだから……喧嘩するなっ!」
「……わかったよ、刹那」
「じゃあ、俺たちの好きにして良いよな?」
「……っ、な……そんな事言ってな……っん!」
その後俺は散々キスされて、ぐったりしたのは言うまでもない。



ディランディ兄弟企画の「僕の世界は君のもの!」さまに提出させて頂きます。
ディランディ兄弟に幸あれ!
そして、素敵企画に参加出来て幸せです。
有り難うございました!

[*mae] [#tsugi]

戻る
リゼ