乙女ロードに行きましょう
コッチの世界に来て、もう一週間以上経った。
春休みももうすぐ終わり。
平和島静雄との生活にも馴れて、池袋の街にも馴れた。
だから、今日は【乙女ロード】とか行ってみようかなっ!
取りあえずアニ●イトに行こうっ!!
「…? るん出掛けんのか?」
「うんっ!静雄、今日は仕事午後からでしょ?帰り遅いの?」
「…あー、多分。トムさん次第かも…」
「えー、晩ご飯作んないよ?」
「カレーが良い」
「はいはい、了解です!」
まだパジャマ姿の静雄に 「いってきます」 を言って家を出た。
♂♀
「…うぅむ…」
前に友達が言ってた通りに、デュラララ!!(漫画)に描いてあったみたいに、本当に牛乳パックみたいな建物だなぁ、アニメイト池袋本店。
デカい。何よりデカいな。
今は中に入り漫画やラノベコーナーを見てる。
カードとか、元の世界のやつ使えるのかな?
…デュラララ探そうか。
「……無い」
電撃文庫に、デュラララ!!がない。当たり前っちゃ当たり前だけどね。
「んんっ? お兄さん何を捜してんの?」
「電撃文庫っすか?」
聞き覚えのあるよな、男女の声。
「……え?」
振り向けば、黒い服に身を包んだお姉さんと、糸目で中々おしゃれなお兄さん。
「電撃でおすすめなのはキノとかっすケド、どうせなら角川とかもどーっすか?」
「ハルヒ?ハルヒ?」
ヲタトークに入ろうとする2人。狩沢さんと遊馬崎さんだ…。
「…あー…、と。"キノ"は"旅"より"学園"派ですね…」
「へー、キノは知ってるんだ! じゃあしにバラは?」
「しにがみのバラッドは途中から読んでないです…」
「え!お兄さんもったいないっすよ!!」
うーん、…他のラノベとかよりも【デュラララ!!】にハマってたからなぁ…。
「と、いいますか、俺は女です」
「「……え!?」」
ガシッとキラキラした2人に手をつかまれた。
「ゴメンね、でも女の子そんなに可愛いと"男の娘"に見えちゃって…!!」
「シエルっすか?シエル的な感じっすか!!」
「い、いや、シエルは眼帯で、しかも男…むしろ女装……ッ」
「「お友達になりましょう!!」」
「……あ、はい、えっと、まぁ、あの…」
きゃいきゃい、とヲタトークをはじめた2人をぼんやり見ていたら、後ろから急に声がかかった。
「何してんだ。お前ら…」
「あ、ドタチン…ッ」
振り向けば、体格のいい男の人が。
やべぇ、つい名前を読んでしまいました。
慌てて口を手で押さえたけど…。
「…なんだ? 俺の事知ってんのか」
興味無さ気に聞く門田京平サン。
「えぇ、と…まぁ、有名じゃないです…か?」
しどろもどろだけど、今の答えに納得していただけたようです。
「悪いな、俺の連れが時間取らせたりして」
「「あー、酷い言い方しないでくださいっ!!」」
遊馬崎さんと狩沢さんは同時に言った。 仲良いなぁ。
「あ、どーせならメアド教えてほしいっす!」
うぉう。いきなり話を変えますか!?
遊馬崎サンはビシリ、と俺を指差した。
「…そーですね、教えていただけるとうれしーです」
あぁもぅどうにでもなれ。
遊馬崎さんと狩沢さんと、ついでに門田さんとメアドを交換する。
一気にアドレス帳が倍に増えた。
「へー、るんちゃんって言うんだぁ!」
「そーいえば自己紹介してなかったすね」
そうですね。自己紹介しなくても、俺は知ってるからアレだけどね。
「普通に、【ゆまっち】【狩沢姉さん】【ドタチン】で良いですかぁ?」
「「おK☆」」
「止めろ」
ウインクして親指を上にぐっと突出したヲタ'Sと、嫌そうな顔をしたドタチン。
「えー、じゃあ京平ね」
「…もうなんでもいい」
そんなこんなでお友達になりました。
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