健全な男子として。
「新羅はさぁ、エロ本何処に隠してる〜?」
──ブフッ!!!!!
訊かれた本人、岸谷新羅は着ている白衣とは真逆の黒いコーヒーを吹き出した。
るんが家に来たために、コーヒーを2人分出していたのを新羅は飲んでいたのだ。
「…え。エロ本!?」
「うん。エロ本」
「なんで?」
新羅が逆に問うと、晃良木るんがう〜んと唸る。
「ほら、静雄の部屋とか探すんだけどないんだよねぇ」
「イヤイヤ、静雄にバレたら殺されるよ…?」
「イヤイヤ、掃除だからさ」
キリッとした良い笑顔でるんは言い放った。
「あ。新羅はセルティを覗くから必要ないのか」
「うん。そうだよ。
僕に聞いたのが間違いだよねー」
「そっかぁ」
セルティも静雄も居ない為に、新羅もるんも枷がなく自由に会話をする。
間違った方向に。
「きっと臨也のほうが凄い隠し方すると思うな」
「えー…、俺、折原臨也と接点無い。あるけど無い。作りたくない」
「そうだね…」
「でも臨也、DEATH NOTE的な隠し方しそうだな…」
「机の二重底?」
「いや、ボールペンの芯」
「あぁ、そっち系?燃やす系?危ない系?」
「うん、だって双子の妹達が怖そうじゃん」
「臨也、苦手意識もってるからねー」
「ねー」
「というか静雄はエロ本読むのかなぁ…、僕は静雄が女の子といるの見た事ないし…」
「へー、モテる面なのに」
「まぁ、弟が弟だから…。
というかるんは静雄が好きなのかい?」
「当たり前だろ。大好きさ!
もちろん新羅もセルティも!」
「よし、家の娘になろうか」
「だが断る!」
「えー…」
「セルティ母さんは怒ると恐そうだしさ…、新羅父さんとはパンツも一緒に洗いたくない年頃だよ」
「思春期早いね!」
「普通は、三才ぐらいの時に第一反抗期が来るんだけど思春期のほうが先になるねー」
「それだと娘と一緒にお風呂に入れないね!
"パパっ大好き!パパと結婚するっ!"とか言ってもらえないって事だよね!」
「残念だな!」
「泣いていい?」
「まぁ、静雄はムッツリって方向で!」
「純情そうだけどね」
「気にすんな☆」
──ほのぼのした、ある日の岸谷家での話。
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