節分(武人と旅人)
ガブラスは何かが入った袋を持って目の前に立つ青年を見つめていた。
「ガブラス!お前何歳?」
「…それは答えねばならんのか?」
バッツの唐突な質問に面食らいつつ答える義務はないだろ?という態度をとる。
「いいじゃん年齢ぐらい。隠したいぐらいの年齢だったりする?」
「はぁ………36だ。」
「えっ。マジ?」
仕方なく答えた年齢に驚くバッツに「おっさんで悪かったな。」と付け足した。
「大丈夫!!全然見えないから!カッコイイし!むしろ若く見える。」
バッツがくっつこうとするとそれを拒絶するよう一歩後ろに下がる。
「それで年齢を聞いてどうするんだ。」
「そうそう手出して。」
ガブラスが片手を差し出すと手に持っていた袋から何かを取り出し始めた。
「これは…。」
「豆だよ。」
「見ればわかる」
手に盛られた36個の豆を見つめどうすればいいか困惑するガブラス。
「今日、節分だから。年齢分の豆を食べると良いらしいじゃん。」
「ああ…節分か…。そんな事すっかり忘れていた。」
「だと思ったー。」
「…有り難く頂こう。」
一粒一粒、豆を食べ始めたガブラスの姿を見てガブラスが今年こそ幸福でありますようにと内心祈るバッツであった。
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