一方的な片思い(魔人→武人)
「お前は憎しみに依存しているようにしか見えんぞ。」
「ふふっ…そうかもしれんな。」
魔人に言われた言葉に武人は自嘲する。
「憎しみに捕われて生きるのは虚しいと思わんか?」
「…貴様には関係ない。」
憎悪を奥に潜ませた瞳でゴルベーザを睨む。そして眉間の皺を更に増やし目を反らした。
「憎しみではなく私に依存して欲しいものだ。」
しかしゴルベーザはそんなガブラスの様子を気にも止めない。
「寝言は服を着てから言え、タイタン。」
吐き捨てるように言うと蔑むような視線を魔人に送った。
「なっ…。お前が兜をつけたまま愛を語るなんて失礼ではないか?などと言ったから…。」
反論する彼の格好は素顔を晒しほとんど裸で少しばかり布をつけただけの姿だった。
「…言ったは言ったが素顔を晒せばいいだけの事なのに下半身に慰め程度の布を巻き付け、上半身マントのみで来ると誰が考えると思う?」
「…。」
反論できずにいる相手を尻目にガブラスはさらに続ける。
「貴様は冬場に公園に現れる全裸コートの変態レベルだな。」
そう言い放つと鼻で笑った。
「そこまで言わなくても…。」
思いを寄せる者に変態扱いされたゴルベーザの心はブレイク寸前である。
「ならまともな服を着ろ。」
「服と言われても…セ、セシルに相談してくる。」
慌てて地獄の出口に向かうゴルベーザにガブラスは「ブラコンめ…。」と呆れるのだった。
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