一緒に行こう!(武人と旅人)
本来静かなはずの地獄には中々静寂が訪れる事がないようで、今日も誰かが犬に会いに行ていた。

「なぁなぁ、一緒に行こうぜ!絶対楽しいって!」
漆黒のマントを引っ張り駄々をこねるバッツの姿は20歳には見えない。
「断る。」
ガブラスはそんなバッツをマントから無理矢理引き離す。引き離されたバッツはつまらなさそうに頬を膨らました。
「もーそんなんだからエクスデスに引きこもりの弱虫犬って言われるんだよ。」
「…なんだと。」
ガブラスはバッツの発言に眉間に皺を寄せた。
「あいつの武器は高枝切り鋏のようじゃ、あれではまともに戦えんのぅファファファ。っとも言ってたぜ。」
「…。」
バッツがよく似ている物真似までして説明してくれたためガブラスの怒りは頂点に達したのだった。
「行くぞ。」
そう言うなり武器を腰に刺し、岩の上に置いてあった兜を小脇に抱える。
「えっ、一緒に旅に行ってくれるの?」
「違う。次元城だ。」
「なんでまたそんな所に…?」
「木偶の坊に高枝切り鋏の切れ味を教えてやりにな。」
「…。」
ポカンとしたバッツを尻目にマントを翻し出口に向かっていくガブラス。
「待ってくれー。そんな面白いの見逃せるかよ!盛り上がってきたぁ!!」
そう叫び満遍の笑顔でバッツは駆け出した。



「ということでエクスデスは全治三ヶ月だってさ。」
「ちぇ、俺も見たかったなぁ。」
「ついでにあいつが大事に育てる苗木までぶった切ってたよ。ガブラスもお茶目な一面があるよな。」
(いやいや、それはどう考えてもお茶目じゃないだろ…。)
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