transmigration(猛者×武人)
目の前で白く輝く光が離散していく。
元は調和の戦士だったそれはキラキラと輝き空中に吸い込まれていった。
何者かはわからない。
だが・・・。
「俺もあと少しでああなるのか。」
しかし醜い憎しみを抱えた自分は調和の者のように美しく消えることはない。

血が止めどなく溢れ流れ血溜まりが足元に広がっていく。
完全に肩当てが砕けた左肩、守りを手薄にしてしまった脇腹の傷が深いのだろう。
唯一まともに動く右腕と愛剣を使い立ち上がろうにも力が入らない。

油断をしたわけではなくただ自分が愚かで弱いだけだ。
薄れゆく意識の中浮かんでくるのは・・・。


―バッシュ
―俺は・・・


「まだ生きておるか。」
遠くから鎧の擦れる音と声が聞こえ、身体に液体らしきものをかけられた。
「お主に死なれては困る。」
声の主は・・・?
「ガー・・ラ・・・・?」
かけられた液体はポーションのようで傷が癒され、多少意識が戻ってくる。
自由の効かない身体では微かに視線を向けることしか出来ない。
「・・な・・・ぜ・・・?」
「永遠の輪廻を儂と共に過ごそうではないか。」
耳元で囁かれた言葉。
それは永遠に続く闘争から逃れられないという絶望を与える言葉だった。
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