*心配するんじゃなかった(幻想×武人)
息子と大喧嘩したと聞いて夢の終わりに行ってみれば刺さった剣の前で寝転がっているジェクトがいた。
「死んだか?」
「勝手に殺すな。」
寝転がったまま右手だけ軽く上げてぶらぶら動かした。
「それは残念だ。」
「うるせーよ。」
側に立ち見下すと顔面から爪先に至るまでボロボロなのがわかる。
また決着がつかなかったのかジェクトの表情は不満げだ。
「酷い姿だな。」
「笑ってんじゃねぇ。」
ガブラスが鼻で笑えばジェクトは子供のように怒る。
隣に座るなり自力で上半身を起こしたので見た目ほど酷い怪我はしていないのだろうとガブラスは思った。
この親子の喧嘩は大概そうなのであまり心配はしていない。
右手を取り回復魔法を唱えてやれば暖かな光がジェクトの身体を癒していく。
そんな治療に専念しているガブラスの後頭部をジェクトは空いている左手で掴み自らの方に引き無理矢理唇を重ねた。
拒絶する暇すら与えず口内に強引に舌を挿入しガブラスのものに絡めようと蠢く。
逃げ場もないため絡め返してやればジェクトは気分を良くしたのか更に激しくなる。
「・・・っん・・・ふぅっ。」
互いの唾液が混ざり合い淫らな音を立て、飲みきれなかったそれが隙間から垂れ流れ体制的に下にいるジェクトの身体へ落ちていく。
しかしそんな事を気にも止めず何度も角度を変え交じり合う。
呼吸の苦しくなったガブラスがジェクトの胸を強く押し解放を求めるまで行為は続いた。
唇を離してもお互いの舌は離れたくないのか糸を繋いでそれはプツンと切れた。
お互い口の回りを拭う余裕もなく乱れた呼吸を整える。
呼吸が整ったガブラスは口を拭い立ち上がった。
「お、おい!どこいくんだ?ここからだろ?」
「・・・帰る。」
「治療は?途中じゃねーか!それに俺はやる気満々なんだぞ。」
「知らん。」
喚き散らすジェクトの顔面を一発殴り黙らせた後ガブラスは夢の終わりから姿を消した。
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