子供(武人と少年)
兜を抱き抱え石の上にちょこんと座ったルーネスは隣に立っている男を見上げた。
「おじさん、一人で寂しくない?」
「フン。寂しい・・・か。」
鼻で笑うガブラスの姿は絵になっていてルーネスの憧れる大人だった。
かっこよくて羨ましいなんて思うけど恥ずかしくて口にはしない。
「だってここ何もないし。」
ガブラスと同じように先を見つめてみる。
先には吸い込まれてしまいそうな闇の世界が広がり続けているだけだ。
「静かでいい。」
「そっか・・・。」
「そんな事を気にするようではまだ子供だな。」
黙りこんでしまったルーネスに気遣うかのよう、彼の方を向きかすかに笑った。
「もう!貴方まで子供扱いしないでよ!」
頬を膨らませ怒るルーネスを見てそういう反応が子供なんだと思うガブラス。
ここに来たときの様子、腫れた目元からして仲間に子供扱いされ飛び出してきたのだろう。
「静かだが頻繁に貴様のようにやって来るものもいる。ここの暮らしもそう寂しいものでもない。」
ルーネスの頭をあやすように撫でてやる。

「そろそろ戻れ。」
どれだけの時間が経っただろうか撫でられ続け気持ち良くなったのかうとうとし始めたルーネスを帰るよう諭す。
「・・・うん。」
素直に頷き兜をかぶったら、石から軽々と飛び降りた。
そしてガブラスの横に立つと小さい声で「送っていって。」と言いぎゅっと手を握る。
「やはり子供だな。」
手を握り返し引いてやればゆっくり歩み始める。
「貴方に前でだけだよ。また来てもいい?」
「仲間に子供扱いされて泣きながら来ないならな。」
「うん。」
歩調を合わせて歩いてくれるその人に憧れ以上の想いを抱きつつあるのをルーネスはまだ自覚していないのだった。
- 16 -
[*前へ] [#次へ]
戻る
リゼ