マイペースなのか?(旅人×武人)
「おかえりー。どこ行ってたんだ?遅かったな!」
カオスに幾度となく呼び出されて渋々出向いたもののあまりに下らない用事だったので殴り倒して戻ってみたら、ガブラスの居住スペースとしている場所でバッツがくつろいでいた。
さも当然とばかりに人の寝床に寝転がっていたバッツはガブラスの気配を感じた途端起き上がり駆け寄っていく。
「貴様が何故ここにいる?」
「恋人の帰りを待ってたらいけないのかよ。」
体当たりなのか抱きついているのかわからない勢いで突っ込んで来られたので避けずに受け止めると、ここぞとばかりに腰に腕を回す。
「誰が恋人だ。」
「えーっ!違うの?」
いつも好きって言ってるのにっとバッツ唇を尖らせた。
「まーノアはシャイだから仕方ないか。」
うんうんと頷き勝手に納得しているどこまでもマイペースなバッツに引き剥がそうと思う気が削がれていく。
「無駄に前向きな思考回路だな。あとその名で呼ぶな。」
「いやいや、お前が後ろ向きすぎだと思うんだ。それにノアはノアじゃないか。」
売り言葉に買い言葉という状況にガブラスは深い溜め息をついた。
一瞬見せた隙を見逃すバッツではなく急にガブラスの唇に柔らかいものが触れる。
「おかえりのチューしてなかった。」
「・・・。」
唇に触れたのはバッツの唇だと認識するまで少し時間がかかったようで、突然の出来事に口を押さえ呆然とする。
「どうした?もしかして照れちゃってる?」
「五月蝿い!離れろ!」
「素直じゃないなぁ。」
ほんのり頬を赤く染め怒鳴るガブラスが可愛くて仕方ないバッツだった。
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