犬とチョコ2(武人と魔女)
廊下の窓から外を眺める。
「さてどうしたものか。」
手の中で先程受け取った包みを転がし何を返せばいいか。その疑問ばかりが頭を占めていた。
「ガブラス少しよろしいですか?」
どこからともなく現れた魔女に横から声をかけられ返事がわりに軽く頷く。
今日は機嫌がとても良いのか表情が柔らかい。
隣に立った魔女は武人の手元にある包みを見つけて呟く。
「それは…雲から受け取ったのですね。」
「ああ、理由はわからないがな。」
困った顔をしたガブラスを見てクスクス笑いながら「多分、貴方が一番きちんと食べてくれると思ったのでしょう。」と答えた。
「…そうか。」
「私も義理ではありますが貴方に。」
暗闇の雲から渡されたのと同じラッピングの物を差し出される。
「気を使う事はないのだが…。」
「そういうつもりではないのですよ。貴方は他の方より味がわかる方ですし。」
ニコリと笑う魔女の様子に断るわけにもいかずガブラスは包みを受け取る。
「すまない。」
「味は保障できませんが…。」
「失敗した物を渡すような人間でもないだろ。」
「まぁ…そうですね。長居しても邪魔でしょうしそろそろ失礼します。」
「ああ。」
丁寧に挨拶をすると魔女は魔法を使い消えていった。ガブラスは手元に残った二つの包みをみて新たな悩みに深い溜息をついた。
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