聖人病

そういえば他人でしたね

自分を削るだけの言葉を笑って語るあなたを嘆かずにはいられないのです

毒をくらってなおわらう

花ほころぶ、その下

碧い水のかえす光のなかで

つぶれてしまうよ、こわしてしまうよ

ゆっくりと細められていく目を必死になってこじ開けようとした

それがどうしようもなく憎いと思って

おいていくこと、遺されること

今更どうして涙を流すのだ

消えた君に泣かされるのだ、今更

聞き損ねた訃報

黒づくめが群れをなす

恐ろしいことでしかなかった

さみしいその手をとりましょう。

あなたの足と耳をも愛の贄に。あなたの僅かな言葉と誠意は殺意の薪(たきぎ)に。

螺旋状に落ちる雨粒。やっかいな頭足らずがふたりに増える。

太陽と毒

一等すてきな宵闇を

無音のきみ

呼吸の音すら聞こえない

幸い幸福の中に身を置いて

魚卵のようにつぶれゆく

映画であればクライマックス

耳に触れて髪を梳いて瞼に口づけてと汲汲している間にも君はぼくの手の温度をすいとって涙を浮かべつわらうのだ

いまごろ闇夜に凍えていた

聖訓の誤字

おもねるおなごもいざ知らず






[|イラスト|ヴァリアー]
リゼ