〜凛香〜
あいつは、悲劇のヒロインだ。いじめられたから、何?いじめくらい僕だって受けたことあるさ。それを世界で一番辛い人間みたいに言う。誰もがあたしを嫌う。もう嫌。こんなとこ。居場所がないんだもん。こんなことを言っていたっけ。あいつは。いちいち自分をあわれんでどうする。どうにもならないじゃないか。馬鹿じゃないのか、奴は。

そんなあいつは、不登校になった。登校拒否だ。担任は皆が呼びかければ来るようになると言った。何を取り違えているのだろうか。僕にもわかることではないが、それすらもあいつは拒否したいのではないだろうか。

「りーんーかっ。」
後ろから声がした。そう、僕を呼ぶ声。できるだけ愛想を良く、にこやかに返事をする。
「何?」
「リョーコの家行くー?」
こいつは、何を考えているのか、僕のどういう返事を期待しているのかが読めない。僕は聞き返す。僕の常套手段だ。
「このみは行くの?」
「行く訳ないじゃーん。」
「そっかー、じゃあ、あたしは行ってやろうかな。」
ああ、疲れて仕方がない。
「やさしー。でも結局行かなかったりするんでしょ。」
「だってこんなの気分じゃん。」
このみはあははっと笑った。おかしいか。でもこれで、終わり。じゃあねと言って別れた。行って、みるか。
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リゼ