病んでれ週間(宗清編2)清正side

※死ねた注意警報


唯、愛しくて愛しくて死にそうだった。いつの間にか、こんなにもあいつは自分の心に突き刺さっていた。酷いくらいにやさしく突き刺さっていくものだから、こんなになるまで気付かなかった。

「宗茂…」
女に囲まれている宗茂は、少し困ったような顔をしたと思ったら、すぐに優しく笑って女に甘い台詞を吐いた。女たちの黄色い声が耳障りで、すぐにその場から立ち去った。
なんで、あんなにやさしく笑えるんだ。すべてに優しいお前が憎い。誤解させるようなことばかりしてくるお前が憎い。こんなにも自分を夢中にさせておいて、簡単に他の女に笑いかけられるお前が憎い憎い憎い…。

気付けば一人で泣いていた。ぽろぽろと零れていく涙は拭っても拭っても拭いきれなかった。一人で泣くのはもう嫌だった。

だから





だから




復讐をしようと決めた

「お前は、嘘吐きだ」

宗茂は困ったような顔をする。女たちに囲まれたときのように、眉を下げて笑うんだ。

本当は今すぐ抱き締められたい、抱き締めたい。このどうしようもない孤独感を包んでほしい。でも、復讐劇は終わらない。もう、自分では止められない。愛してると言われたら止まれるかもしれない、なんて期待してみる。でも宗茂の口から愛してるなんて言葉は出なかった。でも、まだ期待している。



鎌を持っても、どんなに脅しても、宗茂は愛してるとは言わない。やはり思ってないことは言えないのだろうか、なんて考えたら笑えてくる。

「むねしげ」
名を呼ぶと宗茂は照れたように笑った。まるでいつものように。

名ばかりの接吻を受けて、少し恥ずかしくなった。「ほら」と宗茂が促してきたから清正はその意味を理解しながら鎌を握り直した。

今ここで自分を突き飛ばして逃げてくれたらいいのに、と宗茂を見たら宗茂はもう目をつぶっていた。何かを諦めたように。

愛してると言ってくれたら、もう平気なのに。でも言わない宗茂は酷くて、この世で一番鬼畜な人物のように思えた。たった五文字。たった五文字なのだ。あ行あ段とあ行い段とさ行い段とた行え段とら行う段。あいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてる……。


ほらもう終わってしまう。鎌を振り上げたら、宗茂は泣いた。しゃくりをあげながら、まるで子供みたいに泣いていた。
謝りたくなって、声を出そうとしたが辛くなってやめた。そうやって、いつも謝れない。ごめんの三文字が出ない。どんなに言おうとしても、口が動かない。

そして謝れないまま



鎌を振りおろした。




こんな姿見られたくないから
宗茂が目をつぶっていてくれて良かったと笑った。






大好きな人の泣く声にまた泣いた。


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