笑う君が好きだから(小十佐)











猿飛佐助は笑顔が多い。
にこにこと笑っていたと思えば片方だけ口角を上げ笑ったり、影のある笑い方をしたりと様々だ。その様々ある笑い方から小十郎は特に好きな笑い方がある。

照れ笑いだ。

しかしそれはあまり見れない貴重な笑いだ。本人の性格故かなにか知らないが褒められても簡単に流す性格はきっと治らないものなんだろう。「あーはいはい」と流されればそれで終わりだ。
でもたまに見れる時がある。それは小十郎が佐助に世間的に言う甘い言葉を吐く時だ。

その甘い言葉自体稀の言葉だから、照れ笑いも少ないのだ。だから増やせという訳にはいかないが。


「猿飛」

「はいはい右目の旦那、何?」

名前を呼べば天井から舞うように現れた男に小十郎は深い溜め息を吐く。何故俺の天井にいるんだ、と云えば気分?と返されるのは目に見えているので云わない。

「猿飛、」

「あー何?どうしたの?」

「お前の笑顔が好きだ」


これが寝ないで考えた台詞。佐助の照れ笑いを見るだけの為に試行錯誤して考えた台詞だ。小十郎は顔をみるみる赤面させながら、佐助を見た。あれ、もしかして凄い恥ずかしいことを言ったのか?そう視線で訴えながら。


「な、なに言っちゃってんの」


照れた。







笑った!




軽いものだなと小十郎はくつくつと笑いを堪え。佐助の方はというと顔を赤くしながら扇ぐように自分の手をぱたぱたと上下させた。




そういうところが可愛いと思ってしまうのは何故なんだろう。小十郎は笑いを堪えながら疑問に思う。



それが恋なのか愛なのか。




分からないまま、時は過ぎていく。





戻る
リゼ