笑顔が貼り付いているのは誰?(宗清)
※関ヶ原直前
頭おかしいです
未だ消えない君の影
一歩足を出し、地面を踏む。
足に感じた確かな感触を噛み締めた。
また一歩、また一歩…
足に感じた感触はひしひしと心を軋ませた。
最初に頭に浮かんだのは三成。
頭の端に残る確かな記憶の奴は笑っていなかった。
いつだって笑っていなかったんだ。
次に浮かんだのは秀吉様とおねね様。
三成は「黄泉の秀吉様が嘆いているぞ」と吐き捨てていた。
心が苦しくなって、意識の中に溺れそうになる。
そんな不安定な感覚の中で思い出したのは
(宗茂…)
三成とは反対、だ
記憶のお前はいつも笑っていたよ。
まるで笑顔が貼り付いているように、馬鹿みたいに笑っていた。
きっとまだお前笑ってるんだろ。笑顔のままこの地に立って、武器を構えてるんだろ。
ほらやっぱり笑ってるんだろ!
笑いながら人を*してるんだろ!
心の中で嘲笑ってるんだろ!
馬鹿だなこいつ
なんて思ってるんだろ!
無性に叫んで叫んで走り回って転がりまくって踊りまくって歌いまくりたい衝動に
ただここでじっと黙って黙って黙ってただ黙っていたい衝動に
俺は頭がいっぱいで壊れそうだった。
そんな心の中の戦いも終わりを告げる。
「やあ、清正」
そんな言葉が聞こえた気がする。
やっぱり笑ってるじゃないか
その笑顔に惚れてたなんて
まだ気付きたくないけど
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