空とは地獄なのである(半官)
ふわり、ふわり。
あれここはどこだろう。
身体が浮いていい気持ち。
でも官兵衛殿がいない。
官兵衛殿がいないと嫌だよ。
官兵衛殿…?
下にいるのは官兵衛殿なの?
官兵衛殿何してるの?
…泣いてるの?
泣かないでよ官兵衛殿。
なんで泣いてるの。
そんなに悲しいことがあったの?
官兵衛殿がどんどん小さくなっていく。
官兵衛殿が豆粒みたいに小さくなって…
零れた涙は小さすぎてもう見えないの
ふわり、ふわり。
空はどんなところだろう。
官兵衛殿がいないところなのかな。
そんなの辛すぎるよ嫌だよ。
「官兵衛殿っ…!!!」
「なんだ」
「えっ!?」
目を開けたら官兵衛殿がいた。いつものしかめっ面に口を八の字に強く結んでいる。怒っているのだろうと理解→俺がまた居眠りしてた。もうこの公式は理解しているのだ。頭に入っている。
「かっ、官兵衛殿ごめんって!栗鼠と兎が眠たそうにしてたから俺も眠くなっちゃって」
「卿はいつも理由が豊富だな」
「えへ、褒めてる?」
「悪知恵ばかり働く頭にはな」
官兵衛殿知ってる?
空はとっても高いんだよ。
手も届かないくらいに高いの。
必死に手を伸ばしてみても全然届かないんだ。
声さえ届かない、官兵衛殿がいない。
「空は地獄だね、きっと」
「卿は先程から何を云っているのだ」
「あは、官兵衛殿は知らないよね。教えてあげるよ」
空は地獄なんだよ?
永遠に君がいない世界なのだから。
でもこの青い空はとっても綺麗で美しくて見ている分には極楽なんだよね。
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