ここ最近の私は、ツイてない。


不幸、と言うほどではないが……ちょっと悲しくなる程度に、ツイてない。


この間なんか、前から歩いてくる顔見知り(仲の悪い)に物凄い顔で睨まれ悪態をつかれ、振り向いた顔の横を鳥のフンが落ちていった。(スレスレだった)


他にも挙げればキリがない。

何も無い所で躓くのはまだいい方。鍵をどっかで落としたり、道に迷ったり、財布はすられるわでもう何なんだろう。


ちょっと前まではこんな調子ではなかった。
寧ろ、周囲からはラッキーガールだなんて呼ばれる位幸運続きだったのに…なぁ…。




「……アンラッキーガール、と言う奴だな。不運な事だ」



黙って話を聞いていてくれた五ェ門は不憫だ、と言わんばかりの目で私を見、頭まで撫でてくれた。



「私のラッキーは何処へ行ったのだろうか……」



思い当たる節がないかと考えるが何も浮かばない。

と言うより、私が何をした?悪いことなど何も……
あ、あの顔見知り(仲の悪い)が呪いでも…!
あんの性悪女め……。



「それはなかろう。恐らく、今、そういう時期なのだ。黙って堪えていればまた元に戻る」

「だと良いんだけど………って、私さっきの声に出てた?」

「む…気付いてなかったのか?」

「うん、全く」



ほら、またアンラッキー。

五ェ門の前ででかい独り言をしてしまった。

あぁもう。恥ずかしい、恥ずかしいったらない。



「…どうした、黙り込んで。具合でも悪くなったか」



今考えてた事は口の外に出なかったらしい。良かった。



「大丈夫、大丈夫。ところで、五ェ門の最近はどう?」



普段から行いの良い五ェ門のことだ。きっと良いことずくしに違いない。



「それがな、お主には悪いのだが、最近幸運続きなのだ」



やっぱり。

これからは日々の行いを良くしよう、と決意を堅くした時、



「お主に拙者の幸運を分けてやる」



と、おでこに小さくキスを落とされた。


驚いた。何事かと五ェ門を見ると目が合って、逸らされた。耳まで真っ赤だ。



「こ、これでお主の不運続きが止まると良いな」

「…ふふっ。真っ赤だよ、五ェ門」



叶わないなぁ。
いつもこうやって驚かされる。


「お主が不幸は…拙者の不幸でもあるからな」



ここ最近の私はツイてない。

でも、簡単な魔法一つで、今の私は幸せだ。

ラッキーどころじゃない、ハッピーだ。



「ありがとう、五ェ門。何だかとっても幸せになった」

「そうか。良かった」



と、笑った五ェ門の、


草履の緒が切れた。


→(一方通行)happy行き
(不幸は伝染する?)





リゼ