「んじゃーよろしくなー」

「…………」



今日はとことん呑んでくると言ってアジトを出ていったのが4時間前の9時。現在夜中の1時。玄関先。先に潰れた五ェ門を置いて大の大人二人はさっき夜の街へ繰り出していってしまった。



「五ェ門を私一人でどうしろと……………五ェ門、五ェ門!ちょっと起きて、歩ける?」

「……………う、む」



私は丁度寝ようとしていた所だったのに、目も覚めてしまった。仕方がないからもう少し起きていよう。どうせルパンも次元もべろんべろんで帰ってくるだろうから、水の一杯くらい出してやろう。
その前に五ェ門に水を。そう思って蛇口へ向かおうと五ェ門に背を向けた瞬間、



「…………なまえ」

「きゃあ!」



服の裾を引っ張られ五ェ門の足の間へと倒れ込んでしまった。



「ごめん、五ェ門。でも急に引っ張るから……」

「ん、すまぬ。なまえが何処かへ行ってしまうかと思い………」



いつもの五ェ門らしくない弱々しい声音に胸がどきりとするがこれは酔っているせいだと頭に言い聞かせる。
その間にも五ェ門はすりよって甘えてくる。私の存在を確かめるように、そして離さないとでもばかりに。



「大丈夫。私はここに…………って、ちょ!」



私が言おうとしたことを遮って生暖かいものが首を這った。まるで犬か猫の様に動く感触は、恐らく舌だろう。思わず背中が粟立った。



「ぅん…………っ……えもんっ…」



こんな五ェ門は五ェ門らしくない。そう、これはお酒のせいお酒のせい。そう思いながらぎゅっと目をつむった時、肩にすとんと重みが落ちた。



「ご、五ェ門………?」

「……………すー」

「寝たの……かな」

「……………くー」

「やっぱり」



耳元で規則正しい寝息が聞こえる。酒で酔ってるとは言え、人騒がせな奴め。そういう気持ちを込めて彼の耳を軽く引っ張ってやった。








「たっだいまーっと。ん?おやおや?」

「どうしたんだー、ルパン」

「ムフフフ。見てみろよ、次元ちゃん」

「おーう!こりゃあ帰ってきちゃまずかったか」





朝起きたら、帰ってきていた男二人に凄く茶化されてしまって、何だか凄く恥ずかしかった。


それはただ、
(お酒のせいなの!)





リゼ