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見上げれば、遠い隙間に青空がある。
それを眺めながら、ぼくはぶらぶら足を揺らした。
ぐしゃっと、頭が潰れた感触。
痛みを感じる前に、全てが 反転 した。
宙から落ちる感覚から、放り出される不思議にぼくはああ、おばけになったんだと感じた。
おばけなら、いいかな、とか考えたら足があった。
見下ろす。
黒い水の中に、倒れているぼく――フォーク・キルアウェートがいた。
頭は半分潰れていて、とまとのほうが綺麗に潰れるかな、と場違いなことを考えた。
足がある。おばけじゃない。
手もある。でも細すぎて、人目で人でないことがわかる。
違和感は強い。
死んだのに「生きている」。
言葉はでない。
まあ、仕方ない。
ぴょこっと立ち上がる。
さて、この川が流れる崖からどうやって帰ろうか。
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