やっぱりそうだ
「ねえ、あなたがリヴァイ?」

一人食堂で食事を取ろうとするタイミングで、不躾にかけられた声にリヴァイは不機嫌そうに視線をやった。入団したばかりの自分に、好き好んで声を掛けてくる人間があのメガネ野郎以外にも居るとは、心底面倒なことでしかなかった。

うるせえ、話しかけるな。視線にそう込めたつもりだったが、相手には微塵も伝わっていないように言葉が続いた。




























「ねえ、リヴァイって言うの?そうなんでしょ?」

にこにこと、何が嬉しいのか満面の笑みで問うその女に、リヴァイは一瞬目を見開いて、零すようにああ、と答えた。その答えに、女の表情は、さらにクシャっと楽しそうに笑う。もうそれ以上喜びを表現することなんて出来ないんじゃないかと思ったその上に、更に。

「へえ!あなたがリヴァイか!あ、ねえ、私今からご飯なんだけど、隣いい?いいよね?待って、取ってくるから!」

返事を聞かぬまま慌ただしく走り去った背中に、唖然とする。その剣幕に。
そして、見間違いかもしれないという、混乱に。



“あいつ”がここに居るわけがない。伸ばした腕が届かなかった、あの姿に、今の女が重なるのをリヴァイは頭を振って否定した。




そして、同時に悟る。


自分も、有り得ないような現実として、今ここに生きている。“あいつ”がそうであってもおかしくはない。






そして、一瞬その姿を視界に捉えただけで、全身が叫んだのだ。彼女が、“あいつ”だと。










nameだと。




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リゼ