もしも、もしもだよ、きみが、ぼくを、覚えていたなら、
(白髭/エース)
※インペルダウン内の話
一つだけ後悔している事があった。
それは大切なことだ。
弟の事じゃなくて、親父の事でもない。
なに、と鮮明に言えることじゃないがとても大切なこと。
暗い冷たい檻の中で一人の時間が長いから意味もなく思いつめることが多くなった。
そんな時に考えるのは、いつも小さな島に残してきたやつの事だった。
勿論、親父やルフィだって大切だから考える事も少なくない。
でもアイツの事はもっと、ずっと考えた。
今の状況をどれくらい地上のやつらは知っているんだろう。
どんな《真実》を語っているんだろう。
「はぁ…、こんな所まできて今更未練が出るなんてな。」
少しだけで良い、アイツに会って言葉を交わしたかったと願うのは過ぎたことなのかもしれない。
でも、もう一度だけ…
「会いたぇな…」
そう呟く一言すら、闇に吸い込まれるように消えていく牢獄と言う現実を見てニヤリと笑うしかなかった。
もしも、もしもだよ、きみが、ぼくを、覚えていたなら、
end
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