僕が俺で俺が僕。
「"俺様の美技に酔いな"!」
キャアアアアアアア…!!!
ーー驚異的な強さと美しさで圧倒しました!ロシアのヴィクトル・ニキフォロフ!!正しく皇帝!!この世は"氷の世界"に染められました!!!ーーー
ワァアアアアアアアア…!!
やりました!GPファイナル5連覇です!!
あ、どうも初めまして。ヴィクトル・ニキフォロフです。え?跡部景○じゃないのかって?いや〜、僕もそう思ったんですけどね。生まれ変わってみたら諏訪部voiceだったもので。でも、どうも国から違ってまして、生粋のロシア人だったんです。
あ、因みに前世はジャンプ愛好家です。
それでですね。跡部○吾ではないものの、どうやら成り代わりというものをしたらしく、なんとなくこの名前に聞き覚えがあったんですよ。
それでスケートを初めてヤコフに会って覚醒しましたよ!"あの"ユーリ!!! on ICEのヴィクトル・ニキフォロフだって!いやー、深夜に偶々見てた"あの"ユーリ!!! on ICEですよ!あー…、でも、あのアニメがあった時期は丁度仕事が忙しい時でですね、飛ばし飛ばし見てに過ぎないんですけど。
まぁ!大まかなことは把握してます!ヴィクトル・ニキフォロフが大会5連覇して、主人公の二人を競わせるんですよね!ね!!
それに実際自分があのヴィクトル・ニキフォロフだって気付いてからはより一層気合いをいれましたよ!主人公の二人を巡り会わせなきゃ行けないんですから!
それこそ超超超!がんばらんばですよ!!!
「よく頑張ったな、ヴィーチャ。」
『!アーン?当たり前じゃねぇか、ヤコフ。』
そう!頑張りました!!
原作をなるべく壊さないように5連覇!頑張りましたよ!!
ヤコフも誉めてくれてます!嬉しいじゃないですか!
本当は跳ねて喜びたのを我慢してハイタッチのみで堪えてます!
…はい。ここまで聞いてくださってる方はもう気付いてらっしゃると思うのですが…。僕自身は元々人の前に出たいタイプでもなく、緊張しいのメンタルチキンなんです。いくら練習しても自信なんて言葉は前世から無縁なくらい。
でも、そうも言ってられないじゃないですか…。"こう"なってしまった以上。
そこで、僕は諏訪部voiceを駆使して自分の知ってるキャラに成りきることによって、何とか頑張れているのです!
因みに御察しの通り跡部様です。
"ヴィクトル"以上に自分に自信を持ってないとヴィクトルなんてできないですよね。…いえ、きっと"ヴィクトル・ニキフォロフ"もそうだったんだと思うのですが…、ほら、ちゃんと全話見てなかったので、それなら、…ね?
…というわけで!なんとかユーリ!!! on ICEの世界を壊さないように必死で頑張って来ました!ヴィクトルであってもヴィクトルでない"イレギュラー"の僕が、主役達の人生を壊すなんてもってのほかです!
某アオハル部長が言ってたように毎日"油断せずに行こう!"です。
「…ケッ!簡単に5連覇しやがって…。オイ!ヴィクトル!それも今年までだからな!」
『…訂正しろ。…ヴィクトル"さん"だ。』
「…?」
おっと。キャラ違いでした。
『…ゴホン…。フッ、俺様に勝つにまだ早ぇ。だが、ジュニアでは良い演技だったじゃねぇか。その調子で頑張りな。楽しみにしてるぜ?』
「!〜〜ーッぉ…ぉう。」
あー!危なかった!つい某海賊漫画のセリフが…。
それにしても、ユーリくん大きくなったなぁ。
ほら、原作はここからですけど、小さい時から知ってるから余計感無量なんですよね。
うんうん。立派に主人公のひとりだよ!
ボソボソと何やら顔を赤くして呟くユーリくんの頭を撫でてあげるとツンツンしながらもすり寄って来てくれる可愛い弟みたな存在です。
原作ではもっと払い除けるくらい嫌われてると思ってたんですけど、実際はこんなに素直なんですねぇ。
ついつい、いいこ〜いいこ〜とそのまま撫でてたら、何だか視線が…
『……?』
「ーーーっ!!」
!!あ!!勇利君だ!!!勝生勇利君!!!
振り返ったら、何とも気まずそうなもう一人の主人公がいました!
うわぁ!うわぁ!!感動だ!!感動だぁあ!!
「……?ヴィクトル…?」
会わせたよ!!
会わせたましたよ!!主人公同士!!
余りの感動でユーリくんが首を傾げて僕を見てたのに気付かず、視線を辿って勇利くんを見ていました。
『………………。』
………あれ。
そういえば、ここからどうすればよかったんでしょうか…
あれ……
あれ…!!?
「…?ヴィクトル?」
ちょちょちょちょっと待ってください!!
何やら心配してくれるユーリくんには申し訳ないですけど、ちょっと待って!!
えっと!?
えっと!!?
ユーリ!!! on ICEですよね!?
ユーリくんと勇利くんのICEですよね!!?
えー!
えーーーー!!!?
とにかく自分が5連覇しなきゃってことだけ考えてましたが!この先どうすればいんですか!!?
ととととととにかく何か言いたそうなので切欠をつくってあげなくては!!
このこはあれだ!!前世の俺タイプだ!自分から中々踏み出せないこだ!
よし!ゴホン…
『…アーン?写真か?別に構わねぇぜ?』
「!!ッ!!」
あ!!?違った!!?
一瞬目を見開いて顔を赤くしたかと思えば、背を向けられちゃった…
えー… えーーー……
どうすればいいんでしょう…
何とか前世の記憶を呼び起こそうと去っていく勇利くんの背中を見詰めながら頭をフル回転していた僕は、もう一人の主人公であるユーリくんが僕より鋭い目付きでその背中を睨んでいたことは全く知らなかったです。
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