俺が僕で僕が俺。
呼ばれて飛び出てジャジャジャジャ〜〜ン!
…なんて呼ばれてもないのに言っちゃうよ。
どうも、初めまして。ユーリ!!! on ICE 魔性のエロスこと勝生勇利に生まれ変わりました勝生勇利です。
…あれ?なんか日本語変だな。あれだよ、あれ。前世の名前は○○だけど、今は勝生勇利だから勝生勇利。
…あ、今馬鹿だって思っただろ。俺だってこんな嘘みたいな話信じたくねぇよ。でもしょうがねぇじゃん本当のことだもん。
妹と一緒に見てたアニメキャラに成り代わったんなら、どうせなら戦国武将とか!忍者がよかった!!
……なーんて思ってたのがスケート始める前の俺だよ。よくよく考えてみたら、そんな世界に生まれてたら俺なんか即死だよな。寧ろ現実世界と余り変わらないユーリの世界でよかったと悟って、真面目に勝生勇利くんとして生きようと決めたのがジュニアの大会に出始めた頃。
………でもさ。
俺もユーリ!!! on ICE好きだったよ?でもさ?あれじゃん??あれって公式でも…あー…アレじゃん?コーチと弟子の枠を越えた"愛"つーの?
…いや、うん。いいよ?"愛"素晴らしいよ?
でもさ、当事者なのよ俺。勝生勇利は俺なのよ。
といこうことはよ?あのイケメン裸族とチョメチョメするのは成り代わった俺なのよ。
………………。
うん。
ッ…ありえん!!!!
ッジャッ!!!
ワァアアアアア…!!!!
ーーー日本の勝生勇利!!刀剣のように美しくキレのあるステップと優美な演技!そしてヴィクトル・ニキフォロフと共に勝生勇利の代名詞である4回転フリップを完璧に決め、ヴィクトル・ニキフォロフと僅差で銀メダルに輝きました!!ーーー
「!!凄いぞ!!勇利!!やったな!!」
『ありがとうございます。チェレスティーノ。』
ふー…。やっちまったゼ。原作破壊。
記念すべき第一話から吹っ飛ばしてます勝生勇利です。
…え?
何してやがんだって?あれですよ、ほら。愛犬であるヴっちゃんが死んじゃってメンタルボロボロでぼろ負けしたアレを破壊したんですよ。
だってヤだもん。
ヴィっちゃん死ぬのもヤだもん。生きてるもん。基本勇利くんは負けず嫌いだからジュニアから頑張ったもん。勇利くんの身体流石よ?ジュニアタイトル総なめできたよ。ありがとう勇利くんボディ。
それに、いくら直接目にしたら息が止まりそうな程イケメンで、不覚にもドキッとしちゃったヴィクトルでも、そういう関係になるのは嫌。行き過ぎたスキンシップも苦手。これは原作の勝生勇利くんもそうだったと思いたいから全面に出してます。
…だから銀メダルをとってもチェレスティーノとは握手ぐらいで許してもらう。…まぁ、ピチェットくんはピチェットくんだったから、まぁしょうがないとして…、基本は人見知りで寡黙一匹狼の勝生勇利くんとして俺はこれからも原作を破壊していきます!!
あれ、なんかそういうこもう居たような…。
まぁいいか。
「Hi!ユウリ!!」
『?』
そんなことを考えながら、一人控え室へ戻っていると大声で呼び止められた。
片言の名に一瞬ロシアのユーリかと頭を過ったが、まだトイレタイムではないのでそれは頭から消去して、その声へ向かって振り返った。
「!!amazing〜ッ!!!」
『!!?ベブッ!!!?』
突然視界が黒に染まり、急激に増えた体重に耐えきれず重力に引き寄せられ地面に尻餅を付いた。
原作にはなかった出来事に、俺は自身の決めた"勝生勇利設定"を忘れるほど慌てた。
無論、胸板であろう場所に思いっきり押し付けられた苦しさもある。
「it's so cool!! so beautiful!!」
『〜〜ーーーーーッ…!!!』
頭に擦り寄られる頬の温かさもそうだが、よく通る諏訪部voiceに俺は力を込め何とか"それ"を勢いよく引き剥がした。
『!!!?』
!!?ゲッ!!
キラキラお目めのハート口に、俺は誰が見ても分かるくらい顔をしかめた。
そんな俺の顔を見て驚いているのは、地面と仲良ししている俺達を見下ろすユーリ・プリセツキーとヤコフコーチだ。
…こんなところで初めまして。
しかし、ヴィクトルは相変わらず俺を見てキラキラ。
え…?え?なんで??
「俺!ジュニア時代から君のファンなんだ!!あーー!!もう!!会えて本当に嬉しいよ!!」
『……………は?』
………あんだって?
「ーーッ…!ちょっと待てヴィクトル!!勝生勇利を最初に見付けたのはオレだぞ!!?何抜け駆けしてやがる!!」
「フフフ…何言ってんだいユリオ。"愛"に最初も最後ないだろう?この手にしたもの勝ちだよ。」
『……………。』
何やら騒ぎ出した二人の後ろで頭を抱え始めたヤコフコーチを眺めながら、もう一度聞く。
…………あんだって?
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