片翼の鳥
ボク達は一緒に産まれて、一緒に育って、これからもずっと一緒―――。
「めぇ!こっち来て!!」
「彩花、どこに行くの?」
この鳥籠のような施設の中で、外を見れる場所は一番上にある展望室だけ。
訓練が終わった後にめぇの手を引っ張って走る。
「ふふっ、見てのお楽しみ」
めぇが訓練の後で疲れているのは分かってはいるけど、知ってしまった以上めぇにどうしても見せたかった。
ようやく到着して、置いてあるベンチに二人で座る。
窓から、昼下がりの柔らかい光がきらきらと漏れていて心地いい。
「めぇ、あれ見て」
そう言って窓の向こうの空の中を、翼を上下に動かして飛んでいるものを指差す。
「彩、あれ何?」
めぇはきょとん、としてボクを見つめてくる。
「あれはね、鳥って言うんだよ。鳥は片方の翼だけじゃあ飛べないんだ…、まるでボク達みたいじゃない?」
ボク達は二人で一つ。
だから一人では生きてられない。
めぇは少しの間鳥を見つめた後、本当だね!、と花開くように可愛く笑いかけてくれた。
それから二人で空を見上げながら笑いあった。
このまま時間が止まればいいのに。
果たして片翼だけで飛び続けていられるのだろうか?
(そんなこと、出来るわけない)
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今まで出来たことが出来なくなる、そんな感覚。
彩雨を見てて切なくなります。特にヴォルガー時代。
本編で甘あまなの希望です!
3/9