淡恋【11】※R18
昨日のほかほかとした幸せな気分とは一転し、今日の斎藤の気分は最悪だった。
もともと、この仕事の時の気分は良いとは言えないのだがスタジオに着いて内容を説明されていく度に、気分は最悪なものに変わった。
撮影の内容が自慰で、しかも所謂大人の玩具を使うという斎藤の大の苦手で大嫌いなものだったからだ。
自分の乱れた姿を晒すだけでも苦痛なのに、道具まで使われるのは非常にキツイ。それに、ただ抱かれるだけなら感じている振りをすればいいだけだが道具を使われると、ダイレクトに刺激を感じてしまう為にかなりの体力を消耗してしまう。
だからといって、嫌だとは言えないが…。
憂鬱そうに溜め息をつくと、重い足取りで支度に向かった。
「くっ…ぁ…」
用意されたベッドの上で、白く細い足を広げぎこちない手つきで清楚な印象を与える白い下着の上から自慰をする斎藤の姿をカメラは容赦なく撮っていく。
そして拙い斎藤の動きを補うように、相手役の男優が小さなローターを過敏になっているであろう性器に当てる。
「ひっ…や、ぃや…」
ビクリと身体を震わせ、いやいやと首を振る斎藤の様子にニヤリと男優は笑うと、ローターを擦るように動かす。
「ふっ、あ、あ、やめ…」
カメラはぐっと斎藤に寄ると、今か今かと時を待つ。そしてぐっとローターが押し付けられた時、喘ぎ声と共に一際大きく身体が震えて斎藤が絶頂を迎えた。
斎藤自身は非常に嫌がるが、斎藤の自慰はかなり売れる。見かけが清楚な分、いやらしく乱れる姿が溜まらなくいいらしい。しかも、声を押さえがちな斎藤が道具を使えば簡単に喘ぎ声を上げる。なので需要も高ければ、リクエストが多い。
「あ、あぁあ…」
まだ落ち着かない内に、下着を退かし直にローターで攻められビクンと身体を痙攣させ、頬を真っ赤に染め苦しげに眉を寄せる斎藤に、何処からかゴクリと息を呑む音が響く。
当然カメラは、その斎藤の表情をアップに撮る。
ああ…今回も売れそうだ。
誰もが、そう思った。
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