願わくは貴方と共に【4】
千鶴と左之助は、今現在非常に気まずい状態に身を置いていた。


¨少し所用を済ませてくる。すまないが、千鶴は左之と二人で待っていてくれないか?¨


¨終わったら連絡するから、好きに店を見て回ってもいいからよ。¨


朔と土方は、そう言い残すと去って行ってしまった。



(は、朔さん、どうしたらいいんですかぁ〜)


いたたまれずに身を小さく縮めた千鶴は、泣きそうな思いで朔に助けを求めた。



一方、左之助はというと…


¨参ったな、どうしたらいーんだ…¨


困惑に頭を悩ませていた。


いきなり土方に

¨左之、暇か?暇だよな?ちょっと付き合えや¨


と断る事を許さない勢いで迫られ、問答無用で引っ張り出されショッピングモールに連れて来られたと思ったら、斎藤と雪村がやって来た。



そして何故か雪村と二人っきりの状態に陥っている。


試衛館に朔と一緒に来て、何度か話す事はあったが、その度に何か変な感情が沸き上がり、どうにもいつもの自分が保てなくなる。



「あー…どっか、見て回るか?」


「は、はい。」



明らかにぎこちない様子で、歩き出したのだった。







「あ…やっと動き出した。」


「随分と、時間がかかったな…。しかも、何だ、あのぎこちない感じは。」


2階から、こっそりと二人の様子を眺めていた朔と土方は、呆れたように溜息をついた。


「いきなりの事で混乱しているんでしょうが…。」


「左之助は何をやってんだか。大体、普段は女の扱いに手慣れてんだろうが…」


頭を抱え、ポツリと呟いた言葉に朔はピクリと目を据わらせ左之を睨むように見つめる。


「やはり…強い衝撃を…!」


ふるふると震えると、どこからともなく大きなハンマーを取り出し振り上げた。


「ちょ、お前、それは!」


それなりに重量があるだろうハンマーは、よくよく見れば¨100d¨と書いてあるのが分かる。



それで殴られれば記憶を思い出すどころか、永遠の眠りにつきかねない。



「朔、落ち着け!そんなんで殴ったら、息の根が止まる。」


がっと、朔を抱き込み宥める。


朔の手から離れたハンマーが、ドガッと有り得ない音を立て床に墜ちたのは見なかった事にする。





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