願わくは貴方と共に【41】
千鶴が風間と和解?した翌日、朔は数式をノートに書き写しながら、教壇に立つ左之助をチラリと見遣る。
左之助に変わった様子はない。
思わず溜め息が零れる。
もう、いっそ背後から斬りつけてやろうか…。
何だか、ムカムカしてきたし腹いせに…
じっとりと左之助を睨み、物騒な事を考えていると幸か不幸かチャイムがなった。
「はーじめくん!なーに考えてたの?物凄くあくどい顔してたけどv」
ひょこっと近付いてきた総司が、ニタニタと笑いながら顔を覗き込んできた。
それにムッと眉を寄せ総司を睨む。
「失礼な。」
「だって左之さんを攘夷浪士を見てるように睨みながら、黒い空気漂わせてるんだもん。物騒としか言えないよね。」
「……腹いせに背後から斬り付けてやろうかと思っただけだ。」
「腹いせって………何、その攘夷浪士真っ青な理不尽な理由は。」
呆れたように見てくる総司に、朔は拗ねたように顔をそむける。
「風間の件が解決したというのに、一向に変わらない奴に腹が立った。」
「一君は、大分変わったよね。昔は、あんまり拗ねたりしても態度に出さなかったのに。」
くすくす笑う総司に、そういえばと思う。以前は、苛立っても表に出さなかったし、色事に必死になる事もなかった。
ただ、あの人の側に
役に立つ事が出来れば幸せだったから
「俺であることは変わらん。」
「そうだねー」
そして左之助も…
「千鶴が…放課後に来る。」
「それまた、何で?」
「左之と話をしたいらしい。」
二人は顔を見合わせると、ニタリと笑みを浮かべた。
Next
- 42 -
戻る