願わくは貴方と共に【38】
くるくる
授業中であるにも関わらず、左之助の事が頭から離れず千鶴は頭を悩ませていた。
いつもならば真面目にノートに書き写しているのに、全くその気も起きず机に頬杖をつき片手でシャーペンをくるくると回しては、うーと唸っていた。
(私、どうしたらいいんだろ…。怒ってた、よね…)
風間さんと話し合いをしたけど結局、諦めてもらえなくて
それから
朔さんに慰めてもらって
うぅん…土方さんは、朔さんとのキスが原因だって言ってたけど、でもでも、今の左之助さんには私は何でもないはずだし、嫉妬…なんてするはずないと思うんだけどなぁ。
それに朔さんだし。
うー…考えれば考えるだけ、分からないよ。
うんうんと頭を悩ませるが、納得できる解決策が浮かばず溜め息がもれる。
謝りたくても、会ってくれるかどうか不安だし…。
でも、このままは嫌だ。
よし!とにかく会いに行こう!
半ば自棄な部分もあるが、ようやく浮かんだ結論に満足そうに頷き、笑みを浮かべた。
会いに行く
そう決めたはずの千鶴だったが、結局はとぼとぼと肩を落とし歩いていた。
決意を決めたというのに、今日に限って先生に捕まり図書室で本の整理をする羽目になり、すっかり遅くなってしまった。
早く帰って、朔さんにぎゅってしてもらおう。
そしたら、明日こそ左之助さんに会いに行こう。
心に決め、足を早めた千鶴だったがすぐにピタリと立ち止まった。
「今、帰りか。」
「風間さん……。」
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