願わくは貴方と共に【25】

試衛館には土方と朔以外のメンバーが既に揃っており、それぞれ稽古をしたり談笑をしていた。



「すまん、遅れた。」


「あ、はじめ君おはよ…って、ええぇ!!」


「ちょっと、五月蝿いよ平助って……一君、変態が後ろにいるんだけど、どういう事?」


朔の後ろにいる風間に、みな驚きを隠せない。流石の斎藤も変態を撒くことは出来なかったのかと、残念な気持ちになる。


「…面倒だから、連れてきた。」


「「「「はぁぁ?」」」」


そりゃ、確かに風間は面倒だろうが連れてきて、どうするんだ。


昔から、何を考えているのか分からないところがあったが、更にそれに拍車がかかったのではないか。



「千鶴。」


おいでと手招く朔に、戸惑いながらも風間に警戒しつつ、そろそろと向かう。そして風間とは反対側に立ち朔の腕に抱き着く。


「朔さん、あの…」


風間の方を見ないようにしながら、どういう事なのか説明してほしくて、おずおずと口を開く。


「千鶴…。お前がコレを苦手としてるのは、よく理解している。だが、このままズルズルと今の状態を続けるわけにも行くまい。」


「は、はぁ…」


コレ呼ばわりされた事で、風間はむっとし「な、コレとは…」と口を開いたところで、キッと斎藤に睨み据えられグッと口を噤んだ。


「だからな…少し話し合いをしてみてはどうだろう。ただ避けていては、何の解決にもならんだろうからな。」



「は…話し合い、ですか?」



おそるおそる顔を上げ、朔を見つめチラリと風間に視線をやる。


勘違いしまくりで言葉など通じなそうな相手に、どう話し合いをすればいいのだろう。


不安そうに顔を曇らせる千鶴に、朔は微笑みやわやわと頭を撫でてやる。


「すぐ近くにいる。何かあれば助ける故、大丈夫だ。」


「……分かりました。」


未だ不安げではあるが、コクりと頷き了承した千鶴にホッと肩の力を抜き「いい子だ」と、左之がこちらを見ているのを確認し、そっと千鶴の額にキスを贈る。



さぁ、どうする、左之。




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